第4話 巻き添え
教師は教卓に戻り、突っ伏して泣き出した。
可哀そうだったが、隆たちにはどうすることもできなかった。
しばらくしてチャイムが鳴り、教師はうつむいて職員室に戻って行った。
翌週、その教師は体調不良で授業にこなかった。お陰で隆たちは教頭から訓話を聞かされたのだった。
「なあ、隆。あの先生、よっぽど恥ずかしかったのやろなあ」
背中に紙片を貼られ校内を颯爽と歩く姿を、洋一は想像した。
「洋ちゃん。ほんまにそう思うか?」
隆は薄ら笑いを浮かべた。
「お前! ほな、和子まで巻き込んだんかいな」
洋一は呆れ果てた。
「そりゃ、和ちゃんやって、洋ちゃんのことをあんなに言われたら、仕返ししとうなるわ」
クラスメイトの背中に、悪口を書いた紙を貼るなどというのは、たわいないイタズラだった。落ちた紙片がたまたま教卓に置かれていたことから、気鋭の女性教員は難に遭ってしまった。
誰が書いたものか、名探偵・隆には関心がなかった。その者が犯罪予備軍なら、世の中は軽犯罪者であふれている――隆の持論だ。
続 村の少年探偵・隆 その4 軽犯罪 山谷麻也 @mk1624
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