第3話 さらし者

「いいのよ、小杉君。はい、座って」

 教員は隆を座らせた。

「小杉君はね、自分で罪をかぶろうとしているのよ。小杉君がやってないことなんか、先生には分かっている。小杉君に対して、恥ずかしいとは思わないの。犯人は名乗り出なさい!」


 また、教師の長話が始まった。

 洋一やクラスのワルは、犯罪予備軍のような言われ方だった。

 教師は座席の間をゆっくり歩きながら、説教を続けた。


 隆の横を教師が通り過ぎた。

「先生。ちょっと」

 隆が教師の背中に触れた。手に何かを持っていた。紙片だった。

「こんなの付いてました」

 紙片には、やはり「バカ」と書かれていた。


「いつ気づいたの?」

 紙片を持つ教師の手が震えていた。

「教室に入ってきた時にはついてましたよ」

 隆は極めて冷静だった。

「ええ」

 和子も相槌を打った。

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