最初から内容では無い部分に触れて申し訳ありませんが、この作品は内容もさることながら、文章が非常に美しいです。
まるで文学作品を読んでいると思わせるような、詩的な表現やある種の哲学的な言い回しが出て来て、正に「文章を読んでいるという楽しさ」を思い出させてくれます。
この、文章、文体の美しさと言う太い骨組みに支えられて、主人公の特別な能力が無くても奮闘する格好良さや、周りを固めるキャラクター達の内面の機微や葛藤が物語に織り交ぜられ、非常に面白いです。
また、本作で特筆すべきは、一応各作品毎に独立はしている物の、他の作品と連動している所です。本作だけでも十分面白く読めますが、同シリーズの作品を最初から読むとまた一つ面白さのランクが上がります。
同時に、他の作品とは文体が微妙に変えられていて、それぞれから受ける印象が違っているという、小憎らしい演出までなされています(笑)
一作だけ読んでも面白い、全体で読んだらもっと面白い。
個人的にとても参考にしている素晴らしい作品です。