第2話 転生の定石

ん…俺、車嫌バイクに轢かれたんだっけか。

ここが死後の世界って奴か?ちなみに何も見えないし聞こえない。


もしかして死んだ人ってこんな所にいるのか? それなら人間みんな死にたくないわな。


そんな事を考えていると、突然おでこのあたりに衝撃が走った


「痛てぇなあ」


ここで違和感に気付く 声が出る?

その瞬間、視界に沢山の情報が入ってきた。外はどうやら晴れているらしい。


この声は自分から出ているものなのか?俺は普段とは聞き慣れない高い声のせいか状況が掴めずにいる。


あたふたしていると、近くにあった姿見に赤の他人の身体と顔が写しだされた。

「どういう事なんだってばよーーーー」


俺はびっくりして某忍者みたいな語尾で叫ぶ。俺死んだんだよな?俺は不思議に思い自分の顔をつねる。


あら不思議。ちゃんと痛いんですけど...

この体格からして子供なのは間違いないが、年はどれ位なんだろうか?


_ダン ダ ダ ダ_


ハッ!誰かがこちらに近づいてきている。

第一村人発見と喜びたい所だが今はダメだ。


何がダメかというと今の俺はこの体の記憶がない。例えば今向かって来ている足音の主がこの体の家族なら本人との違いに気づいてしまうかもしれない。


そんな事になれば

『お前は誰だ!そんな奴は知らんここから出ていけ!』的な事になって転生してそうそう外で暮らす事になるかもしれない。


そんな事にはならなくてもなにか面倒事に巻き込まれるのは目に見えている。


だから俺のがする行動は『寝たふり』だ。


ガチャ 部屋に入ってきている。 


「あんた朝からうるさいのよ。ってまだ寝てんの?」


声の主は女性だ。俺の叫びが聞こえて押しかけてきたようだが、このまま動かなきゃ上手くごまかせそうだ。


あれ?足音が俺の寝ている所へ近づいてきている。物凄く嫌な予感がする。


「ほら、もう朝なんだから起きなさい!!!」 ビリ ビリ


空気が震える。この感じ今までも感じた事がある。だが俺の記憶には一切ない。   

ということは?一つしかない。



























「うぎゃあああーーーー」

これが本条新太の二度目の人生の幕開けだった。



☆ ☆ ☆


さっきの流された電流のおかげ?で俺はこの体に関する記憶を手に入れられた。


『佐藤実』どうやらこれが俺の新しい名前らしいのだが、何とも言えない名前だと思う。


人の親がつけた名前にケチ付けるのは最低だと思うがあんまり…これ以上突っ込むの止めておこう。


そんでもって俺を起こしにきた(電流を流しにきた)のは『佐藤ひかり』俺の姉貴に当たる。


年齢は俺が十二で姉貴が十五だ。俺がこの年ってのと両親が共働きだからか比較的家にいる。


母さんによく「家事なんて私がやるから良いのに」と言われているが、なんだかんだ姉貴がやっている。


姉貴が疲れていたり、寝ちゃってたりする時は母さんがちゃちゃっと終わらせている。これがこの家での家事の分担だ。


俺?もちろん何もしてないよ〜

うーん潔い程にカスだな…だからこそ俺は思う。流石に手伝った方が良いと。


そこで上がって来るのが人の事を言えない、姉貴の友人関係である。俺が考えるにまともに出来ていないと思う。


この記憶から察するに家にいる時は家事してる。


俺が一つや二つでもする様になれば姉貴は姉貴でもっと自分の時間を作れるんじゃないかって思う。


ハッキリ言って、普通青春真っ只中でこんな事をしているって、俺恨まれても文句言えないと思う。


なんで姉貴がこんな事してるのかって母さんの事を心配してるのもあるのだろうけど、根本的な話俺が居るからだ。


ご飯・洗濯は何も出来ず、掃除をしようと思えばゴミが増える。それを見かねた姉貴がの俺の分までしてくれている。


だからこそ姉孝行するべきだと俺は思った訳だ。


良い話風にまとめてみたが一つ解決出来ていない大きな問題が残っている。


何故うちの姉貴はのだね?例えばただの超能力だったらまだよかったかもしれない(よくない)


ここで悲しいお知らせだが、俺が転生した世界は俺の知っている世界ではないらしい…?


何か違和感を感じた俺は速やかに自身が思い出せる範囲で今まで居た世界との違いを探す。


“魔力 魔法 魔物 スキル ステータス”


嫌、待てよ。ここの記憶で映っているステータスの表記方法を俺は知っている。それも何度も見た事があるはずだ。



何処だ?何処で俺はこれを見たんだ?先程から朧げな前世の記憶とこの身体の記憶が徐々に結び付いていく。


あぁそういう事だったのか…


先程の発言は取り消させて貰おう。この世界を俺は知っている。それも前世なんかよりも詳しく。










何故って?












それはここが俺のの中だからだよ。









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『モブ』の俺が、ヒロインの隣に立つために モブの成り上がりっていいよね @kurumipontio

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