第5話 好きならいいじゃない

今日は、ラヴィマジのイベントに来ている。


ホントはマリナと来たかったけど予定があって私一人で来ている。


今はグッズ売り場で林くんグッズを漁っているのである。


とにかく、キーホルダーはいくつか手に取ったので缶バッチを探してみる。


「おっ」


これは限定の缶バッチ!


私は缶バッチに手を伸ばす。


私はグッズに夢中で気付かなかった。だから。


「あっ!」


近くにいた女の子もグッズを手に取ろうとしていたことに。


「ごめんなさい!」


女の子は慌てて手を引っ込め私に謝る。


「私みたいな根暗がグッズを横取りしてごめんなさいっ!私なんかが林くん推してごめんなさいっ!」


「あー、えーっと、落ち着いて?」


私は彼女をなだめる。



「水、いる?」


とにかく彼女を落ち着かせるためグッズ売り場の近くのベンチに座らせた。


「すいません」


「大丈夫、謝らなくていいから」


一向に彼女は水に口を付けない。


「君も林くん好きなんだね」


「はい、好きです、好きなんですけど…クラスの人達は「地味でブスなお前に推されるなんてそのキャラ可哀想w」って言ってくるんです。だから、林くんに申し訳なくて」


「でもここに来た。まだ推したいって気持ちはあるんだよね?」


「はい…」


「君が地味でも何でも好きならいいじゃない。私も昔はモサ子って呼ばれてたもん」


「え?」


「大事なのは"好き"って気持ちだよ。それがあれば見た目なんて関係ないよ」


と言ったあと私は気づいて


「あ、あと貢ぐお金もか(笑)」


と言うと女の子は初めて笑った。


「確かにお金も大事ですね(笑)公式様に貢がないといけませんね」


と笑いあった。


私は、推しに出会って垢抜けできたけど、それがなくても彼女のような気持ちがあれば十分なのかもしれない。


また会えたらいいね、林くん推しの女の子。



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画面の奥から愛してよ 揺月モエ @nakamoe0429

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