第4話 辛くても
ある日の夕方
「三千代おばさんが来るって、辛いなら会わなくてもいいけど」
母から告げられた。
最悪だ…と思った。
三千代おばさんはよく分からないが母の祖母の親戚らへんの人らしい。
なぜ最悪かというと三千代おばさんはお見合いおばさんと言われるもので、まだ21歳なのに未婚の私にしつこく縁談をセッティングしようとしてくるのだ。
私はすぐさま、部屋にひきこもった。
私はお見合いなんてしたくない。
ピンポーン!
おばさんが来た。私は布団にもぐり林くんぬいぐるみを抱きしめる。
「三千代さん、モカは結婚したいと思ってないから」
「でも孫とかみたいでしょ?だから私が説得してくるわ」
「三千代さん、待って!」
階段を上がる音が聞こえる。私は一層強くぬいぐるみを抱きしめる。
「モカちゃん、居るでしょ?いい人がいるのよ、会ってみない?」
「だからお見合いしないって言ってるでしょ!」
私は叫んだ。負けてたまるか。
「アンタ、今年で21歳でしょ?結婚から逃げて恥ずかしくないの?」
「だから、もう心に決めた人がいるの!」
「どうせアニメのキャラでしょ?現実見なさいよ、嫁に行き遅れるわよ」
「うるさい!おばさんに何が分かるの!もうほっといてよ!」
彼を好きで何が悪いの、私は会えなくても好きなの。
理解しなくてもいい、でも結婚しろだの何だのもう聞きたくない!もうやだ…。
私はそんな事を思いながら布団の中でさめざめと泣く。
いつの間にか寝てたらしい。何時間寝ただろうか。
「モカ?起きてる?」
母の声だ。どうしたのだろう。
「モカ、さっき辛かったでしょう?だからモカが寝てる間に林くんのグッズ買ったわよ」
「ほんと?」
「ほんとよ、ラバスタ?だったかしら?バックとかに付けられるのにしたよ」
昔から母は私の気持ちにいつも気づいてくれる。私が傷ついてることもお見通しだったみたいだ。私はフッと笑いドアを開ける。
「あと、録画してある、ラヴィマジも見ようか。きっと元気をもらえるよ」
「うん!」
私は満面の笑みを浮かべ、母とラヴィマジを見に行った。
辛くても大丈夫。推しと理解者の母がいるから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます