あの日、君がいたから。
翠
第1話
「あの頃のまま大人になれていたら君と一緒にいたかった。」君はそう言った。
幸せになってね、それさえも私は言えなかった。
ガシャン…ガシャン…何枚もお皿の割れる音。お母さんの叫び声、頬を叩かれる音、背中を蹴られる音、毎日毎日聞き飽きた。ああ痛いな、助けて、泣いたらまた叩かれる。ねえ誰か、誰か私を助けて。神様…本当にいるのかな。何で私ばかり痛い思いをしなくちゃいけないの?痛いよ…痛い、痛い…死にたいよ…私の生きている意味は?お母さん痛いよ…どうして?ねえ何で?こんなことするの?毎日こんな事ばかり思っていた。
靴も履かず雨の中走り出した。どれくらい走っただろうか。ここはどこだろうか。街灯の灯りと月が眩しい。
「一人なの?」後ろから女の子の声が聞こえた。振り返ると同い年くらいの子が立っていた。
「うん… 一人」
「そうなんだ。こんな夜になにしてるの?」
「い、いや…なにも…」
「へー、何かあった?靴も履いてないけど」
「…」
「まあ、いつか話したくなったら教えてよ君のこと」
そう言った君は君自身のことを話してくれた。
「私には家がないんだ。妹たちのご飯盗まないと…」
何時間経っただろうか
私はこの子と一緒にいたい。そう思った。
あの日、君がいたから。 翠 @sui1224
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。あの日、君がいたから。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます