第1話 学校への電車の中で



 

――――ほら、早く起きなさい、遅刻するから...早く......起きなさい!!!!!


「は!?」


 私はその言葉に飛び起きた。しかし、起きた場所は電車、思ったよりも大きな声が出てしまったので周りの目がいたい...どうやらあのこれは夢の中での幻聴のようだ。


「ど、どうしたの華、大丈夫?」


 気を取り直して、今、目の前にいるのは親友の優香だ。本名は確か碇山優香っていう名前...だった気がする。私は清原華。そして私たちは、今まで志望校を決めてなかったため、いろんな成り行きで決まった学校の受験を突破し、今まさにその学校へ電車で移動している最中だ。


「何も言ってないのに飛び起きるなんて...体調が崩れてるの?」


 母の声の幻聴によって飛び起きた私を心配する優香。


「だ、大丈夫だから、それよりも、遠いね、東京って」


 無理やり話題をすり替えようとする。私の故郷である九州地方から東京は6時間近くかかる長旅だ。


「まあ、日本を半分横断するみたいなものだからね。あと一時間くらいあるけど、どうなるんだろう...」


「そうだ、さっきまでこの話するの忘れてたけど、今日は入学式しないらしいよ」


「ええっ!?」


 これからのことについて考えていると、突然そんなことを言われてびっくりする。


「入学式がないってどういうこと?」


「まあ、国連学校は全寮制、さらに今日はほかの人が来る時間がばらばらで、全員集まるのに何分も待たないといけないからね。行ったら地図に沿って教室に行って、そこにいる先生にいろいろ教えてもらってそのまま寮に行くんだよ」


 なんだかわかるようなわからないような......つまり、広範囲から人が来るから時間の差がどうにかできない。だから全員の前で話をするのは明日以降、でも何も話をせずに寮に行かせるわけにはいかないから教室を経由するのか。


「あはは、とってもフリーな学校だこと」


「むしろ明日からが本番だから、頑張ろう」


 それからは、その学校についての話をしていた。

 今までもちろん見たこともないし、前例も限りなく少ない国際学校...しかもそれは軍事目的だから、緊張する。

 なんで軍事目的の学校に入っているかはまあ今思うことでもないか。


「軍事目的ってどんななんだろうね、やっぱり厳しいのかな...」


「そりゃあ、命がかかってることに将来従事するものだし、厳しくないと駄目なんじゃあ......」


「でも、優香のお父さんって軍人さんなんだよね?最近知ったんだけど」


 最近起こった同盟国での戦闘に派兵されて、しばらく会えてないから、その時に軍人だと知ったんだけど、大丈夫かなぁ...生きて帰ってくれればいいけど。

 でも、戦闘では自分の命よりも国の命のほうが優先されるし、ときには『そうなっちゃう』こともあるだろうしで、残酷だと思う。

 ...このことで残酷だと思っていたらこれからやっていけるとは到底思えないけど。


 

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果てしない闘争 ~アイディアルリアリティ~ azusax @azusax

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