果てしない闘争 ～アイディアルリアリティ～

プロローグ

　そこには戦後世界が広がっていた。2012年、突如として発生した一般人が通常では不可能な異常な能力を発現させる能力事件。この出来事をきっかけに、能力者をめぐる争いが勃発した。

　争いは次第に激化し、2027年には独ソ 対 英仏米の構図で世界大戦に発展。　能力者を優遇する自由主義陣営と、従来の制度を維持しようとする全体主義同盟の戦争は、約1億人の被害を出し、両陣営は互いを完全に屈服させることができず、2037年に妥協の形で終結した。

　その後、再び戦争が起こることを恐れた両陣営は、2042年以降に和解政策を推進。両陣営は平和条約を締結し、世界は一時的な安定を取り戻した。

　一方、日本列島を統一したドイツ傀儡の大倭帝国や、銃社会となっていたアメリカ合衆国では、能力者によるテロが依然として続いていた。対テロ戦用の軍事組織が結成され、世界は能力者が支配しようとする「能力主義」と従来の制度を維持しようとする「人間主義」に二分されていた。

　国際連合は国際的な友好をさらに深めるため、2046年に東京で国際連合軍事工科学校の創設を決定。様々な分野の工科学校が設立され、未来の脅威に対処するための教育が始まった。

　そんな大きな被害からなんとか這い上がり、人類に平和の希望が見え始めた2050年のお話。