第4話 ステータス

時間は朝の6時より少し前だろうか...

俺は魔物の落とす経験値を得るために、草原に来ていた。

この草原は、家から近いことも利点だが、昼夜で魔物の種類が変化するため、異なった素材を手に入れることができ、冒険者にも嬉しいらしい。

「やっぱり魔力の回復速度がまったくと行っていいほどない」

俺は今、初級魔法の火球ファイヤーボール水球ウォーターボール風弾ウィンドショット石弾ロックの魔法陣を体の周りに発生させることで、素早く連続的に発動させて、草原の魔物を迎撃していく。

初級魔法ということで、威力は低い。

ただし魔力消費量を抑えることができるので、前世ではそこまで強くない魔物を倒すために使ったり、足止めに使用したりしていた。

ただ、魔力のそもそもの量が少ないことと、魔力の回復が遅いため、たまに休まないといけない。

幼い頃って不便だったんだなと、改めて実感した気分になった。

「電気についても知っておきたいからな...」

本で少し見たところ、電気は火を生むこともできたり、物を動かすこともできるらしい。

でも電気はかなり高価なものらしいから、使える人は限られているらしいけどね。

「そろそろ朝ごはんだろうから帰ろうかな。流石にずっとこうしていたら親に心配させそうだし」

俺は、きた道を逆側に戻る。朝ごはんのことを考えながらね。


*


「ごちそうさま」

俺はスープと一枚のパンを食べ、食事を終えた。

いや〜。昔のパンはクソまずかったな〜。

いちごをジャムにするなんて発想なかったよ。

ただ単にパッサパサのパンに砂糖か塩とかを入れて、むしゃくしゃ食ってたわ。

てか、昔の仲間達は今はどうしているのかな?まあ、大体生きてるだろ。

そんな事を考えていると、母親に声をかけられた。

なんだろうか。

まさか...今日の朝のことがバレた?

「今日は聖職者の人達に才能値を色々見てもらうから、行けるように準備をしておいていてね」

「...は〜い」

ははは...良かったわ〜。バレてなくて。

確か5歳になったら聖職者のいる神殿に行かないといけないんだったよね。

聖職者は[鑑別]っていうスキルを使って才能値を見たり、適正な属性を知ったりできるらしい。

俺も[鑑別]のスキルの下位互換である[鑑定]は持っているが、[鑑別]のスキルを持っている人はかなりレアだ。

まあ正直、聖職者っていうくらいだから、凄そうな感じがすると思うだろうけど、生まれ付き持っているスキルが優秀なだけで、大体の聖職者は努力をしてきていない。

だから俺に仕えていた、だいたいの眷属たちは聖職者を嫌っていた。

まあ、そんな事言わずに、今回だけは占ってもらおうかな......

「てか、[鑑定]のスキルは俺は今使えるのか?」

この時代に来て、一度も俺はスキルを使用したりしていない。ステラは昔の俺が持っていたスキルも引き継がしてくれたのだろうか......試して見る価値はありそうだ...

「鑑定」

自身の両目が緑色のオーラに包まれると、目の前に自分のステータスが書かれているプレートが浮かび上がる。

まず、今の俺の魔力量は285だ。

昔の俺と比べると桁が1,2どころか、3個も違う。

次に俺が見たのは瞬間魔力放出量しゅんかんまりょくほうしゅつりょうだ。

名前の通りで、一瞬のうちにどれほどの魔力を使用できるかという話だ。

俺の現在の1秒間での放出量は26と、非常によろしくない。上級魔法を使うために、約40程の魔力を使わなくてはならない。

これでは溜めている間に剣で胴体ごと真っ二つにされてしてしまう。うん、恐ろしい。

あとは適応している属性だな。どれどれ...

「え...お前...」

俺の父さんの手には歯ブラシがあった。きっと歯を磨いていたのだろうが、俺のステータスを見ると、言葉を失うほど驚いていた。

今は、そこまで驚くことのないページを開いていたのだが、どこがそんなに驚く必要が......ああ。なるほどな〜。

俺は、適応属性のページを開いていた。属性には、上級属性と下級属性というものに大きく別れる。下級属性は、誰でも1つは持っているのが普通で、火・水・風・土の4属性と、光と闇の対照属性だ。

上級属性は炎・氷・雷などで(他にもあるが)、下級属性だけではできない事ができるようになるものもある。

まあ、そこまではいい。ここで今問題が起こっているものは、これに属さないものだ。

「...レイト、鑑定のスキルを持っているのか?凄いじゃないか...え?

 それは使じゃないか...」

はいはい、大問題が発生しました。

これはこの中の属性とは少し違い、稀な特殊な属性で、まさに俺が前に命がけで殺した勇者も持っていた。

どれほど価値があるかというと、一世紀に数人だけ得られる...それくらいだ。

でも、その証を持つ大抵の人間は、小さい頃に殺されてしまうと言われている。

それくらい成長すると、危険になるからだ。

「使徒の証持ちか...流石、俺たちの息子だ。きっと大人になったら女の子たちにさぞかしモテるんだろうな。しかも将来はハーレムか...くうう...うらやましい...いや、そんな場合じゃない。俺  ぇ!」

「あ嗚呼ああ」と、頭を抱えながら体を回す父親...褒めてくれるので悪い気はあまりしないが、ハーレムはしたくもないしできないだろう。あと、父親の嫌な部分が2日目で見れてしまった。

「それ以外の属性も優秀すぎる。このまま聖職者のもとに行って鑑別されて、王国の関係者にバ レてしまえば.....ちょっと!お母さん〜?!」

確かに...下級属性は、6属性全属性揃っているし、上級属性は氷と魔の2属性を持ってしまっている。これに加えて[使徒の証]を持ってしまっていれば、かなりの化け物が生まれてしまうな。

でも、使徒の証はまだ卵状態のようで、どのような効果があるのかはわからないようだ。

「レイト、あなた天才よ!」

母さんはぴょんぴょんと、大喜びで部屋へ入ってくる。まあ、旧魔王だしな。

「それどころじゃないんだよお母さん。これだとレイトは強すぎて死刑とかになってしまう」

「そんな輩は私の力でぶった斬ってやるわあぁぁ!出てこいごラア」

「お母さん〜?それは釘バットじゃないか......フッ、仕方ないな......

 俺も王国側のォ血しぶきがァちょうど見たくなってきたところだったからなァァ...」

「ならば、上級魔法を王国の国会にブち込んで宣戦布告ヨォぉ!」

「ふははっはァァ」

「奥様がたぁぁ〜?!殿様がたぁぁ〜?!どうかぁおやめに〜〜」

メイドが父と母を止めようと必死になっていた。

俺を置いてけぼりにして、家の中が格闘マンガみたいな空気になってきたところで、俺はとあるスキルを思い出す。

「このスキルを使用すればいいんじゃないですか?」

「「......これだあああ!」」

一方で、メイドは2人の奇行を止めるために膝を折り、疲れ果てていた。お疲れ様でした。

「このスキルを使えばバレない...そう...Bランクスキルの[隠蔽]を使えばね」



4話を閲覧ありがとうございます。楽しんでいただけると光栄です。

5話は2/22以降になりますので、何ぞと今後もよろしくお願いいたします。

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魔王様は世界を救うそうです Blue @ails

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