第3話 異次元からの使者
俺は現在ロシアからの
己の身が滅ぶまで、俺は守り続ける。絶対に....絶対に...絶.....
「ようこそ。こちら側の世界へ」
俺に声をかけた人間は自身のすぐ左側にいた。朱色の髪が印象的で、服装は西洋の黒服のようなものだった。だが、今まであってきた人達より生気が薄いような気がする。
「ここはお遊びの場じゃねえ。どこかの兵士か知らねえが、邪魔するなら失せろ」
「意外とこの場の状況の理解は遅いと...あなたはそれでも本当に海上自衛隊なんです?」
「...何が言いたい」
現在も右手にテーブルがある。テーブルの上に置いてあるのはミサイルの迎撃に使用するパソコンや、サーバー、AIのアシスタントなどがおいてある。それだけじゃない。日本人の命、海上自衛隊の誇り、俺の家族の運命が、この右手にすべてつまっている。やれ
早く考えろ。計算しろ。そうすればこのミサイルの包囲網を抜け出せるのか...
「もう、終わったんですよ」
「......は?」
こいつは何を舐めたことを言っているんだ...この作戦を突破されれば、たくさんの日本人が犠牲になる。俺の、女房だって...
「あなたは生涯を終えたんです。海に浮かぶイージス艦とともにね」
右手から何もかも、全てがなくなる気がした。
そう、何もかも。そして、俺は気づいた。
「俺は...死んだのか」
「
「ではここは死後の世界ということか?日本の戦況はどうだ?家族はどうなったんだ?」
「...質問が少々多すぎますよ。一つずつ詳しく説明していくので大丈夫です」
男は何もない場所から刀身が真っ赤に輝く剣を取り出し、
剣を振るったと思われる場所にはついさっきまでいた海が見えた。
「これで確認してみればいいんじゃないですか?」
「...そうさしてもらう」
俺はまず、千夏の生存を確認しようとする。景色が変わる。ここが俺の家だ.....
声が聞こえてくる...すると、俺は息が止まったように呼吸ができなくなる。
「...篝、絶対に生き残って」
「大丈夫だよ、母さん。父さんは海上自衛隊のエリートだよ?絶対に帰ってくるさ」
「そう、よね」
俺は2人の会話を見て、もう一度、俺は苦しくなる。もう、そこに俺はいない。
もう、家族のもとには二度と帰ることができないんだ。
「他の人達も見ますか?」
「いや、もういい...」
俺には、どうやらこの景色を見る資格はないようだ。
俺は、その空間を両手で上から下へ閉める。
「あなたがいなくなることで、悲しむ人もいるんですよ?」
「...ああ...そうみたいだな」
俺は全財産を失った社会人のような気持ちへと堕ちる。いや、すべて失ったんだ。
もう、死ねば全て終わりなのだ。俺はなぜ絶対に死なないと勘違いしていたのだろうか。
「...では、次の話に行きましょうか」
「いい。地獄でもいい...俺を連れて行け」
たくさんの人間を戦艦とともに俺は殺してきた。地獄に落ちるのは確実だろう。
でも、愛する人達を失った俺にはそれ以上の天国なんてものはない。
「一つだけ、特別な能力を持って転生させてあげます」
「...どういうことだ?」
また、もう一度千夏たちに会えるということか?
「ですが、そのまま地球に転生させることは不可能です。別世界に存在する入口を経由することで行くことができるでしょう」
「...では、俺は具体的に何をすればいいんだ?」
男はフット笑い。そして一拍おき、このように告げる。
「アナザーゲートを完成させることです」
アナザーゲート...それを作るのだろうか。それを作るのにどれほどの工程を組まないといけないのだろうか。
いや、そのアナザーゲートとやらを完成させることができれば...再び会えるんだ。全然安いものだろう。
「まあ、ですが、その時代にはどうやらかなり厄介な敵がいるようですね」
「厄介な敵が?どのような敵なんだ?」
「魔物の活性化、魔王の転生、そして戦争が発生しそうな状況下にあることですね」
「...いや、そんなもので俺はまた死なない。絶対に全部、この手で駆逐してやる」
俺の邪魔になるものは全部消してやる。この日本海軍最強候補であった俺の力で。
「その世界には海軍なんてものは存在しません」
「...それはどういうことだ」
海軍が存在しない?すでに俺がいた世界よりも圧倒的に近未来的な兵器を使っているのか?
なら、今までの常識が覆される。
「いや、そうではありません。剣と魔法の世界ですね...魔法使っているのに軍隊なんていらないでしょう?」
「ならば、作ってしまえばいい。俺が陸軍、海軍、空軍、電脳軍、化学部隊をな」
「ふふふっ、面白い人ですね...今まで見てきた人間とは違う。どのような能力をご所望ですか?少し前の人は世界最強、もう少し前なら人間を凌駕する最恐の魔法を使えるようにして欲しいなどと言っていたりしていましたよ?」
世界最強は、世界1の力を得ることができる。だが、それは世界2と世界3などが一緒に共闘してしまえば意味がない。人間を凌駕する最強の魔法を手に入れたとしても、対策方法を知られてしまえば別の最強が生まれてしまう。ならば、自身は状況によってどのような形にも変化できるを力が必要だと思う。だからといってすべて最強にするわけではない。最低限の力だけで強くなる。だから。
「俺がいた地球の戦争に関する知識。兵器の作り方、爆撃機の作成方法、時代背景、人物像も、全ての知識を欲しい」
「...それだけでいいんですか?」
「良ければ平均以上の戦闘能力、地位も一緒につけてくれれば助かる」
「いいでしょう。とある子爵家の長男として転生させます。だいぶ財力はあるので軍隊を作るくらいのことは容易いでしょう」
「ありがとう」
俺は後ろに振り向き、男とは正反対の方向へと歩く。
「その変な場所が転生の機械のようなものだろう?x座標、y座標などが多く書かれているようだが」
「そうですね。それが転生に使用する
「......必要だと思えば覚えておこうかな」
俺は転生廟に近づく。
「お前はどういう存在だ?おそらく俺の予想通りだろうが」
その男はニヤッとわらい...
「アレスだ。覚えたければ覚えておけばいい」
「そうだな、覚えておこう」
俺は転生廟の上に乗り、景色が変化していく。俺の道をさえぎるものはぶっ飛ばす。それだけだ。
そして、俺の意識は落ちていった。
*
「面白いやつだ」
あそこまで面白いやつは初めて見た。全員ここにきたものは世界征服を目標として能力を得ようとする。だが、あいつはあくまでも家族と会いたい。ただそれだけの事を夢見ている。
そういうやつのほうがより確実に実現してくれる。
「どうやら、
アレスは、心の奥底から黒い笑みを浮かべた。
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