斥候ベイカー3完全攻略っすよ

リトルアームサークル

プロローグ 

 僕は今、冒険者ギルドの王都支部に呼び出されている。

 重騎士ヘヴィナイトタムリンの冒険者登録やダンジョンからの素材の買取り等で世話にはなっているが、呼び出しを受ける覚えはないな…うん大丈夫だ多分。

 なんて現実逃避をしていたら、ギルドに着いてしまった。

 おそるおそる扉を開けると、

「ベイカー様、お待ちしておりました。マスター室へご案内致します」

 ギルドの制服を来た受付嬢がお辞儀をしつつ、迎え入れてくれた。

 やはり王都のギルドと辺境のギルドとでは、職員の接遇のレベルが違うなと感心した。

 マスター室に入ると、既視感のある厳つい顔が待ち受けていた…なぜ辺境の街にいるはずのギルドマスターが王都に?

「びっくらこいとるようだな、奴は俺の弟だ」

「あ~、なるほど。そういう事でしたか」

 ギルマスブラザーにまんまと嵌められたらしい、僕がバックレたら自分が酷い目に合うとかウソつきめ!

「まあ、悪く思うな。ロデール王からの依頼じゃ、しくじる訳にもいかんだろう?」

「いいでしょう。それで今日は何のお呼び出しなんですか?」

「要件の前に聞きたい事があるんだが?」

「質問に質問で来ましたか…何です?」

「お前たちのパーティーはなんて名前なんだ?」

 おっと!まずい正式なパーティー申請を忘れていた様だ。

「【ナイトポーター】です」

「そうか【ナイトポーター】ね。詫びも含めて、こちらで登録しておこうメンバーは3名だったな」

「そうです」

 棚ぼたで面倒な手続きをしなくて済んだラッキー。

「そこで要件だが、B級パーティーの【ナイトポーター】に王都から少し離れた【原始の森】の調査を依頼したい」

「何か気になる事でも起きたのですか?」

「うむ、森に住む獣や魔物たちの動きが活発化しているらしい…」

「それはほっとけませんね」

「頼めるか?」

「パーティーの訓練にもちょうどいいので、お受けします」

「ありがとう、よろしく頼む」


「はい、皆さーん!僕は目立つのは苦手なので注目しないで聞いて下さい」

「やりにきいな、斥候スカウト!」

「姉さん、あざーす」

 僕らがねぐらにしている宿屋。

 辺境の街でねぐらにしていた宿屋に比べると格段に上、おっちゃんのメシは別で…支払いはロデール王持ちだからね。

 タムリンは王国騎士団の宿舎があったし、プロトもねぐらにしていた宿屋があったけど、こっちに移ってもらった。

 ロデール王持ちだからじゃないよ!パーティーの利便性を考えての事だからね。

 それで今は、僕の部屋に集合してもらっているというわけだ。

「僕らが【ナイトポーター】ご指名の依頼を、ギルドマスター直々じきじきにいただきました」

「ちょっと待て!」

「姉さん、依頼の内容はこれから話しますから」

「ベイカー兄さん、自分もちょっと待って欲しいです」

「え、プロトも?なんで~」

「なんで~じゃねえ!僕らが【ナイトポーター】ってのはなんなんだ?」

「パーティー名だよ。夜の運び屋…カッコいいでしょ!ギルマスに聞かれたから、登録してもらっといた」

「あ~?ウチラはクスリの売人か」

「いや、タムリン姉様。ツッコむのそこじゃなくて、なんで重騎士ヘヴィナイト荷物持ポーターちだけなんですか?」

「ん?ヘヴィナイトポーターだと、ちょっと長いかなと思って…」

「いえ、そうじゃなくて!どうしてベイカー兄さんの斥候スカウトが入ってないんですか?」

「ああ、そこね!僕が目立つのは苦手だからだね」

「なるほど!」

「タムリン姉様それでいいんですか?」

「構わんだろ、クスリの売人じゃなきゃ!」

「あくまで、そこにこだわるんですね…タムリン姉様が納得されたんなら自分もオッケーです」

「よし!じゃあ依頼の内容だけど、【原始の森】の調査です…以上」

 部屋の中に微妙な空気が漂う。

「よし、わかった!」

「タムリン姉様、何も考えてないでしょ…ベイカー兄さん、もう少し詳しくお願いします」

「ん?【原始の森】の獣や魔物の動きが活発化しているらしいから、その調査と出来れば原因の排除だね」

「なるほど…わかりました」

「プロトも充分訓練を積んだから、実地訓練としてちょうどいいかなと思ったんだ」

「兄さん、ありがとうございます。頑張ります」

 うん、お兄ちゃんだからね僕…あ~癒される。

 

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