第2話 コカちゃん

 魔王城の玉座に座る魔王デイン。

 その前に跪くアビゲイルが報告する。

「魔王様、遂に小娘パーティーが新しいダンジョンに潜りました」

「ほう、やっとか。随分と足踏みしていたようだな?」

「どうやら、前回のオーガキングに手こずった原因を探っていた様です」

「気付いたのか?」

「はい、多少は…」

「なかなか優秀な仲間がいるようだな、猪突猛進の小娘パーティーにしてはだが!」

「大した事はないかと愚考致します」

「少しは楽しませてくれそうではないか?」

「魔王様の娯楽になれば、喜ばしい事です」

「で、あやつの足止めは手配済みなのか?」

「はい、【原始の森】にちょっとデカめの猛獣をブッ込んでおきました」

「フム、その程度ならば我らの関与は疑われないな。少しぐらい王都に犠牲が出ても、知らんがなで押し通そう」

「さすがは魔王様、しらばっくれ方も洗礼されております」

「まあな!我、魔商人まきんどだからな」

 魔王城に魔王デインの高笑いが響きわたった。


 自室に戻ったアビゲイルを、使い魔のマウスとクロウが出迎える。

「小娘の宿での情報収集、ご苦労だった。魔王様もいたく喜んでおられたぞ」

「チュウ」

「カアッ」

「小娘の所の魔術師ウィザード回復者ヒーラーか、なかなか鋭い。だが、魔王軍参謀である私の手の中で精々足掻くが良い」

「ピヨ」

「あ!コカちゃん。ごめんね、すぐゴハンにするからね」

「チュ~」

「カ~」

「なんだ、お前たちまだいたのか?コカちゃんはコカトリスの雛なのだぞ。あ~癒される」

「チッ」

「カッ」

「『コカトリスでコカちゃんって、そのまんまじゃねーか』とか言ってんじゃねーぞ!」

 慌てた様子で使い魔のマウスは天井裏へ、クロウは夜空へと羽ばたいて行った。

「なんだアイツら!」

「ピヨ」

 あざとくコカちゃんが小首を傾げると、アビゲイルは悶えまくった。

「コカちゃんに怒ったんじゃないからね~、可愛いしか勝たん!」

「ピヨ」

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