第44話 愛し合いたいだけ
「……どうしたの?あるとくん、私の服脱がせてくれないの?」
「……」
ここで麗城さんの言う通りに麗城さんの服を脱がせ、また麗城さんと愛し合うというのは麗城さんも俺も幸せになれて、何一つ悪いことはない……はずだが、どうしてもグレンデルさんの言葉が俺の頭に響く。
人を愛することは、決して悪いことじゃないはずなんだ……なのにどうして、こんなにもグレンデルさんの言葉が俺の頭に響くんだ。
麗城さんに再度服を脱がせるように言われても動かない俺のことを見て、麗城さんは言った。
「もしかしてあるとくん、もう私の体に魅力感じなくなっちゃった?」
「なっ……!」
どこか悲しそうにそう聞いてくる麗城さんに、俺は首を横に振って全力で否定する。
「ち、違う!麗城さんの体は魅力的だし、俺は麗城さんのことを愛してる……大体、俺は麗城さんのことを体どうこうで見てない!麗城さん自身と言っても、麗城さんに対してそんな言葉を使うのはやめて欲しい」
「ごめんね、そんなことないってわかってるんだけど、どうしても不安になっちゃって……でも、だったらどうして私の服脱がせてくれないの?それとも、今日はあるとくんから脱がせるような気分じゃない?それなら、私から脱がせてあげても良いよ?」
「それは……」
その後、俺は少しの間口を開かずに言葉を考えてから、口を開いて俺の今思っていることを言った。
「麗城さん……俺たち、本当にこのままで良いのか?」
「……どういうこと?」
「このまま二人でずっと愛し合って幸せに過ごせていけたら、それは本当に幸せなことだと思う……でも、本当にそれで良いのかとも思うんだ」
「二人でずっと幸せに生きていけるんだよ?それの何がダメなの?」
それは俺の疑問でもあるから、今答えを出すことは難しい……それでも、やはり何かが……俺は、さっきグレンデルさんに言われたことを思い出し、グレンデルさんに言われた言葉を口にした。
「さっきグレンデルさんに言われたんだ、俺が視野狭窄……視野が狭まってるって」
「っ、余計なことを……」
麗城さんは、一瞬ここには居ないグレンデルさんに殺気を飛ばすと、俺に向けて優しく言った。
「あるとくん、グレンデルの言葉なんて気にしなくて良いよ、私たちの幸せは私たちだけのものなんだから、他の誰になんて言われたとしてもそれは絶対に揺るがない……違う?」
「それは……そうだが、グレンデルさんに言われる前から、俺は少し疑問を抱いて────」
俺が続きを話そうとした時、麗城さんは俺のことをベッドに押し倒すと、俺の上に跨って言った。
「もう良いよあるとくん、何が不安なのか私には全くわからないけど、愛し合って気持ち良くなって、二人だけで幸せな時間を過ごして、そういうことは全部忘れちゃおうよ……今はきっと色々と思うところがあるのかもしれないけど、愛し合いはじめちゃったらもうそんなことどうでも良くなると思うから」
「待ってくれ、このことはしっかりと話し合うべきことだ」
「話し合いなんていらないよ、私たちには愛があるんだから」
麗城さんは、心の底からその愛情以外はどうでも良いと思っているようだった。
「麗城さんの言っていることはわかるし、俺だって本当は麗城さんの言う通りにしたい……でも────」
俺がまたも意見を伝えようとすると、麗城さんは悲しそうにしながら口を開き、俺のことを抱きしめてきた。
「私はただあるとくんと愛し合いたいだけなの!どうしてそのことをわかってくれないの……?私は、本当にそれだけで良いのに……」
俺は麗城さんの想いが全て込められた言葉を受け止めるように麗城さんのことを抱きしめ返し、俺もしっかりと俺の想いを込めて口を開いた。
「俺だって麗城さんのことを愛したい、愛し合いたい……だからこそ、ちゃんと向き合って────」
その続きを伝えようとした時、部屋のドアがノックされて、部屋の前から使用人の人の大きな声が聞こえてきた。
「シャーロット様!緊急事態です!」
その言葉に俺たちが聞き返す間もなく、その使用人の人は声だけでも焦燥感を感じられる声音で言った。
「山賊と思しき者達が、このアナスタシア家の屋敷に侵入しようとしています!」
「え……!?」
◇
昨日から美人でタイプ過ぎる義妹が「結婚したい」と毎日迫ってきていてとても困っている〜義妹が妹であることを利用して、好き放題誘惑してくるんだが!?〜────という作品を連載させていただくことにしました!
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◇
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