法令といった制度を扱うSFは個人的に興味があるのですが、そうした側面を併せ持つ新感覚のSFといった気分を味わいました。人工知能によって世界が変わるという視点はありがちですが、そこから一歩出れば何故かおかしくて憎めない世界が広がっている、そういう面白さを強く感じました。新感覚ゆえ強く推している意味が分からないかと思えますが、読んでみてもらえば分かると思います。面白かったです。
すり鉢の一人語りで描かれる未来。AIが人間の仕事に次々と進出し、人間に残された仕事はわずかな「人間にしかできない仕事」と「胡麻をする」こと。タイトル「あと少しでユートピア」の「あと少し」の意味とはなんでしょうか?ユートピアになるには何かが「あと少し」足りない、なのか?時間が過ぎて「あと少し」すればユートピアになる、なのか?荒唐無稽な設定なのに「人間手当」とか「人工知能要因就労不成就補助金制度」とか妙にリアルな説得力があります。是非是非、読んでみて下さい。おすすめです。
人間にしかできないことは何か、そう言う深~い問いを、ユーモアいっぱいに描いた短編です。