『予定調和』

ヒニヨル

『予定調和』

扉の鍵は、いつも開けてある

朝でも昼でも夜でも

さすがに出かける時は掛けるよ


服を着るのは好きじゃないけれど

下着とぶかぶかのパーカーは着ておく

急な宅配が来ても、

配達のお兄さんが困らないようにね


お昼寝をしていた時だった

靴の音と、少しの息づかい

そして扉の開く音がした


わたし、分かるんだ

あなたが近付くと

眠っていても自然と覚める

でも、寝たふりをする


いつもあなたは

わたしに掛けられたお布団を

めくって勝手に入ってくる

冷たい手がわたしの太ももに接触する


また誰かにこっぴどく

叱られたのかな

本当に懲りないね


心配しなくていいよ

わたしがあなたの心と身体のキズを

回復させてあげるから。



     Fin.





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『予定調和』 ヒニヨル @hiniyoru

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