書き言葉でありながら、言葉で語りかけてくるのと同時に、耳にしっとり響く作品です。主人公の閉塞感、緩やかな絶望感、無情な現実。このやるせなさは、生きる私たちにも、差すものではないでしょうか。精緻な筆致で、そうした主人公の感情と情景が、淡々と胸に染み込んでいきます。物語にはひとつの結末が用意されていますが、無理をした感はなく、ごく自然にこちらに伝わる、味わい深い作品です。雨のASMRを聴きながら、再読したいと思います。
絶望的、退廃的……世界で自分だけが取り残されているこの気持ちに共感するのは……あるいは難しいのかもしれません。一人で夜の街を歩いて、行き交う人の姿に自分の孤独を浮き彫りにされた経験のある人ならそれを感じられる……感じてしまうかも主人公と、そして……筆者の苦悩と苦しみまでもが染み込んでくるような、そんな重くて浸透圧のある物語ですそれでも夜は明けますよどこかに救いはあるのです目を開いて、前を向いて……その痛みも、あなただけの大切な宝物✨
最後の一文で救われる自主企画からきました。どん底からのスタートで、どうやって持ち直すのかヒヤヒヤしながら読みました。友人と恋愛を犠牲にしたのに報われなかった。手放したのに手に入らなかった。その時の虚無感は、はかりしれません。主人公と同じような経験を多くの人がしているでしょう。選ばれなかった人からどうなるのか?みなさんは答えは見つかりましたか?
身近で見たことがあるような無いような景色や状況が描かれていて、沢山共感したおかげで腹に一撃もらったような気分です。