押忍!我ら眷属隊

@ginnomori

第1話 「風の狐太郎!!!」

「ここが正念場や………。」


周りを見渡す。

包帯を巻き、息も絶え絶えの仲間たち。

しかし目はしっかりと前を見つめ、今と未来を生きている。

各隊長と隊員たち、後ろにいる自衛隊たちとともに敵に向かう。


「いくぞおおおォォォォォォォッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!」


「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!」


━━━━━━━━━━━━━━━

チュンチュン………………


「ん………………またあの夢か……………。」


ふわぁと欠伸をした後、少し背伸びをしコタツに座る寝ぼけ眼の男・多治狐太郎たじこたろう、26歳。

冷蔵庫から水を取り出し、煙草を吹かす。

今からバイトに向かうので準備に取り掛かっているところである。


狐太郎「みんな……………元気してんかな………というか…生きてんかな……。」


現在2005年。

3年前に起きた第三次世界大戦。

それは国と国との争いだけではなかった。

いつなんどきでも裏には大きな組織が存在する。

それが邪教である。

狐太郎を含む眷属隊は12隊でつくられており、それぞれの隊長が眷属神との契約を結んだ修験道である。

狐太郎は字のごとく狐神。

人間を遥かに超えたパワー、スピード、耐久力、技。

銃やミサイルなどが一切通用しない格闘集団であった。

しかし、邪教が最後に放った邪念が爆発。

その時に仲間が散り散りになってしまった。

生きているのかもすら定かでは無い。

そしてその邪教も鼬の最後っ屁で悪あがきをしただけで壊滅したのかもわからない。

狐太郎はバイトをしつつ、仲間を探している最中であった。

部屋の神棚に手を合わせ、挨拶をする。


狐太郎「ほな行ってくるわな、トシゾウ。」なでなで


トシゾウ「フンス。」


トシゾウは狐太郎の友達の野良アルマジロである。

今は30cm程も無いが、今後の成長に期待である。


━━━━━━━━━━━━━━━


自転車を漕ぐことおよそ4km。

自宅から1番近い病院の清掃のアルバイト。

戦争の火種があまり来なかったので、他の場所と比べても大分綺麗である。


狐太郎「ふぅー、着いた着いたぁ。今日も仕事仕事っと。」


1日7時間、時給700円。

福利厚生も一応あるにはあるが、昔と比べたら屁のようなものである。


おばちゃん「凄いよね〜。」


狐太郎「…?」


何やら清掃業の先輩であるおばちゃん方が井戸端会議的なものをしている。

何が怖いのかと狐太郎も話に参加する事に。


狐太郎「何が凄いんすか鈴木さん?なんかあったんすか?」


ニコニコ笑顔で話しかける。

おばちゃん方に良く気に入られている狐太郎。

マダムキラーである。

因みに同世代には全くモテない男である。


鈴木「こたちゃん知らんの?最近凄い新興宗教が色々出てきてんのよ。」


狐太郎「新興宗教?」


田端「そうそう!隣町のね、負荷居駅に出来たんよ!」


押羽「掌教って名前なんやけどね〜!」


狐太郎「掌教…。」


良いわよね〜!

私も入ろうかな〜!


ザワザワ…ガヤガヤ…


狐太郎(手かざし教とはまた違うんやろな…。)


狐太郎は訝しんでいた。

何故ならば世話になっている目の前の女性陣の気と目の色がおかしいからである。

歪んでおり、邪なエネルギーが感じるのだ。

恐らく、先の闘いでの残党かまた新たに現れた変な宗教のような物かもしれない。

そう感じた狐太郎は仕事終わりに早速その宗教の施設に行くことにした。


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狐太郎「お疲れ様でした〜!!!」


時刻は15時30分。

ここから大体30分程度でその施設には到着する。

狐太郎は道すがら考えていた。

おばちゃん方の気は確かに濁っていた。

しかしそれだけでは邪教かどうかは分からない。

何故ならばどんなに尊い正しい宗教でさえ、歪んだ信者というものは生まれるからである。

どんな物か判断しなければならない。

しかしその疑問も確信にすぐ変わった。


狐太郎「邪教確定やな…。」


まだ施設から2km程離れているにも関わらず、淀みのある気持ち悪い気が蔓延している。

普通の者や気力が弱いものならば飲み込まれてしまうだろう。

途中の駐輪場で自転車を停め、目的の場所まで移動する。

まだ施設まで距離があるというのに目が落ち込んでいる人間が至る所に居る。

恐らく全員その掌教の信者であろう。

しかし全員笑顔である。

目が笑っていないにも関わらずどこか心の安寧のような表情を浮かべている。

一種の麻薬のようなものである。


狐太郎「あかんな…。このままやったら遅かれ早かれ皆死ぬな…。」


大きな施設の前まで来ると気が強くなるを感じる。

すると目の前に高校生くらいの男の子が心配そうな顔をしながらたちぼうけていた。

その子は他のものと違い、まだまともな瞳をしている。


狐太郎「なぁ、兄ちゃんちょっとええかな?」


男の子「えっ、は……はい、なんでしょうか…?」


狐太郎「兄ちゃんここの信者の方?」


男の子「いやっ………違います…というか…これからなる…というか…。」


狐太郎「どういう事?」


話を聞くとこうだ。

妹がどうやらこの数ヶ月前に掌教に入ったらしく、そこからだんだんおかしくなってしまったと。

とても可愛いお淑やかな女の子だったのが目がくぼみ自慢のストレートヘアもズタボロ、服装も汚く前の面影が全く見当たらないほどになったらしい。

しかもその上で私は幸せだとアルバイトで稼いだお金を全てつぎ込む始末。

この男の子は幼少期に両親が離婚。

妹は母親に着いていったらしい。


狐太郎「そうやったんか…、ごめんな聞いてもうて…。」


男の子「いや、そんな事ないですよ…。でもなんだろう…なんで見ず知らずの人にこんなに話せるんだろう…。」


狐太郎「ハハッ………なんやろうな…。」


八幡「あっ、僕八幡鳩兵衛って言います!」


狐太郎「きゅうべえか!古風でいい名前やの!!!俺は多治狐太郎言うんや。ここで会ったんもなんかの縁。よろしくの!」


お互い笑いあい、施設の中に入っていく。

途中缶コーヒーを鳩兵衛に奢り、それを飲む。

普通の缶コーヒーにも関わらず、何かどこかしら美味しい以上に何かを感じたのであった。

中に入るまでに大量の信者が手を合わし何やら呟いている。

全員生気が無い。


狐太郎「気吸い取られとるの…。」


鳩兵衛「え?」


狐太郎「鳩ちゃん分かるか分からんけど、ここ自体がクソみたいなダウンスポットでの。パワースポットなんか言われとるけど全く真逆なもんや。」


鳩兵衛「え!?結構有名なパワースポットなんですよ!?」


狐太郎「全然違うで。普通のもんやったら耐えられへん。鳩ちゃんは…名前からして守られてるんやろう。」


鳩兵衛「それってどういう………。」


ボーーーーーーン……………

ボーーーーーーン……………


何やら太鼓のような音が聞こえる。

すると本殿の扉が開き、中から大男が出てきた。

肌が良く焼けており、丸坊主。

体には様々な装飾品を付けている。


狐太郎「見てみぃやアレ。ホンマに人助ける宗教のトップがあんなジャラジャラ宝石なんか付けるかよ。」


鳩兵衛「確かに…。」


大男「みなさぁぁぁぁぁぁん!!!!!ごきげんようーーーー!!!!!!!」ビシッッッッッ!!!


両手を頭につけウサギのようなポーズを取る男。

すると周りの信者も同じようなポーズを取る。


狐太郎「気持ちわる。やっぱし手かざし教と全然ちゃうな。」


鳩兵衛「手かざし教?」


狐太郎「掌かざして気を送るっちゅう宗教やの。主に人助けばっかしてる良い宗教…………やねんけど…圧力かけられるわなぁそんなとこ。」


信者「渕原様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッ!!!!!!!!」


周りに大声で教祖の名前を叫ぶ信者たち。

ポケットに手を突っ込み冷たい目で教祖を見つめる狐太郎。

鳩兵衛は気に押されているのか、少ししんどそうであった。


鳩兵衛「あっっ!!!」


狐太郎「どった!?!!」


指を指す方向にはとある女の子が。


鳩兵衛「妹です!!!」


狐太郎「あの子か!!!」


鳩兵衛「白音!!!」


人混みを分け隔てつつ妹の元に走る鳩兵衛。


狐太郎「ちょっ!!!どこ行くんなぁ!!!!」


鳩兵衛「すいません!!どいてください!!!」


ガシッッッ!!!


鳩兵衛「白音!!!何してんだ!帰ろう!!!」


鳩兵衛「白…………」


妹と目が合い、ギョッとする。

人間の目では無い。

生気が感じられないまるで死人のような瞳。

光が宿っていない。

すると肩を誰かに強く掴まれる。


渕原「君はぁ………見たことが無いなぁ…?新しく入った信者かなぁ?」


ニンマリ笑う顔がとても気持ち悪い。


鳩兵衛「うるさい!!!変な宗教作りやがって!!!妹を返してもらうぞ!!!」


目をかっぴらき相手を睨む鳩兵衛。

全身震え、汗を垂らしているものの決して引かない。


渕原「可哀想に!!!!!皆の者!!!見なさい!!!この複雑化した悪列な社会に揉まれ歪んでしまった若者を!!!」


丸太のような腕で引き寄せられ、目の前に立たされる。

信者たちの注目の的になってしまい、どうにも動けない。


狐太郎「あんの………!!!突っ走りよってからに!!!うおっ!!!」


信者の波に飲まれだんだん離れていく狐太郎。


渕原「このような者には教えを伝えなければなりません!!!皆の者でこの若き蕾を助けましょぉぉぉぉ!!!!!!!」


うおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!


渕原「君は特別コースで全てを教えよう…………。」ニッコリ………


鳩兵衛「…………………!!!!!!!!」


━━━━━━━━━━━━━━━


手足を縛られ動けない鳩兵衛。

現在地は人里離れた山中である。

信者は19時にここに集まるように渕原に指示されている。

それまでどうするつもりなのであろうか…。


渕原「君は我が掌教に入ってもらわなければならない。ここに入れば、み〜んなが幸せになれるぅ。」


丸メガネをかけブクブク太った体。

脂肪がぎっしりと詰まっている。

額は脂でテカっていた。

不安を抑えながらも睨みをきかせる鳩兵衛。


渕原「居るんだよ。君みたいな気に入らない目をした者が。」


ドスッッッ!!!


鳩兵衛「うっっっっ!!!」


渕原「見たことがある…。美しい宗教に逆らい、我らが崇める神に背く組織を…。」


ドガッッッ!!!


鳩兵衛「ッッッッ!!!」


渕原「あの戦いで死んだんだろうが…、そいつらの目に似ているんだよ…。」


髪の毛を鷲掴みにされ顔を何発も殴られる鳩兵衛。

妹は兄がそんな目にあっているにも関わらず、気味の悪い笑みを浮かべている。


渕原「君には供物になってもらう。信者たちの前でな。」


腹に拳を入れられもがく。

縛られているだけでなく、口にガムテープをされているので叫ぶこともままならない。


渕原「そうそう、君の妹ちゃんなんだがね…。」


渕原「もう処女はもらっちゃってるよ〜。」


汚い舌で白音の顔を舐め、体をまさぐる渕原。

頭に血が上る鳩兵衛であるが何も出来ない。

なすがままにされる妹を見ることしか出来ないその不甲斐なさで涙が溢れ出す。


渕原「美味しかったよ〜、生娘をしゃぶるのは〜。それにそろそろ信者が集まる…。公開性交でもいいなぁ〜。」


鳩兵衛「〜〜〜ッッッッッ!!!!!!」


渕原「ブァーハッハッハッハッハッハッ!!!!!!」


鳩兵衛(畜生………!!!!畜生畜生畜生ッッッッッッ!!!!!!!)


鳩兵衛(ちくしょおおおおおおおぉぉぉッッッッッッ!!!!!!!!)


スーッ………………


襖が開いた。


渕原「なんだぁ?これからいい所なんだから空気読めやぁ。見張ってろって言っ……………」


鳩兵衛「ッッッッッッ。」


狐太郎「いい所って…………今からしばきあげられる事か?」


鳩兵衛(狐太郎さん!!!)


狐太郎「突っ走ったらあかんで鳩ちゃん。大丈夫か?ほら。」


一瞬で縄を引き裂き、ガムテープを剥がす。


鳩兵衛「プハッッッ!!!ありがとうございます狐太郎さん!!!でもなんでここ…………」


居ない。

目の前に居た狐太郎が一瞬のうちに消えた。

気がつくと白音を抱きかかえているではないか。


渕原「なっっ!!!いつの間に……………!!!!!というか親衛隊は何をしているんだ!!!!!!」


襖から外を確認する。

すると20人程度の親衛隊たちが白目で泡を吹き倒れていた。

全員重症である。


狐太郎「話聞いてくれへんからどつき回したったわ。んで………………………次はお前や腐れ外道。」


渕原「………………フハハッ…………!!!!!ハーハッハッハッハッハッ!!!!!!!」


狐太郎「なにわろてんねん。」


渕原「貴様が何者かは知らんが!!!馬鹿みたいな奴はやはり現れるものだなぁ!!!!!」


渕原「俺は昔彩華学会の幹部クラスだったんたぞ!!!!!!!妖力もトップクラスのなぁぁぁぁぁッッッッッッ!!!!!!!」


ブオオオォォッッ!!!!!


渕原の足元からドス黒い気が湧き上がる。

施設が全体的に揺れ、ところどころにクラックが入る。


渕原「死にさらせ蛆虫がぁぁぁぁぁッッッッッッ!!!!!!」


狐太郎「!!!!!」


黒いモヤが渕原の拳に纏う。

渾身のボディブローを受けた狐太郎は本殿の奥に吹き飛ばされた。

それを追いかける渕原。

連続で殴りかかっている。


ドドドドッッッッッッ!!!!!!!


渕原「死ねぇぇぇぇぇぇッッッッッッ!!!!!」


ドッッガァァァァァァァ!!!!!!!


最後の一撃で床ごと周りが吹き飛ぶ。

砂煙が舞い、渕原は肩で呼吸。


渕原「ハァ…ハァ…フヒヒハッッ!!!!!思い知ったか……………!!!!!!」


「おい。」


渕原「!!!!!」


後ろを振り向くと外に狐太郎が鳩兵衛と白音を抱きかかえこっちを睨んでいる。

怪我どころか服に汚れひとつ無い。


狐太郎「ひとりで何殴っとんねん。踊っとるんかお前。」


狐太郎「ちょっと待っててな鳩ちゃん。妹ちゃんの傍おったってくれ。」


スタスタと渕原に向かい歩く。

全身から少し風が吹きすさぶ。


渕原「俺を怒らせたなぁ!!!!!!良いだろう!!!見せてやる!!!俺の最大限のパワーをおおおおぉぉッッッッッッ!!!!!!」


鳩兵衛「なっっっ!!!なんだあれ!!!!」


先程まで纏っていた黒いモヤがだんだん形作られていく。

目玉がたくさんギョロついた大きな口の化け物が現れ、渕原はこれでもかという勢いで狐太郎に向かい放つ。


渕原「ディヤァァァァァァァァァァ!!!!!!俺は最強なんだぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッ!!!!!!!!」


化け物「ギイイイイィィヤァァァァォァッッッッッッ!!!!!」


鳩兵衛「狐太郎さんッッッッッッ!!!!!」


狐太郎「………………。」


指を少し動かす。

そして掌を合わせ大きく摩擦を起こし後ろで手刀を構える。

すると掌にだんだん空気が刃と化し、丸ノコのようなものが出来上がる。

高音で回転する風の刃。


狐太郎「八つ裂き風輪。」


ビュンッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!


………………………………………。






ザンッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


化け物は一刀両断。

魂が繋がっているのか渕原は目をかっぴらき、大口を開け顔中汗だくである。

ワナワナと震え、狐太郎の目を見て何かを思い出す。


渕原「お……………!!おまっ……!!!!その目…どこかで…………………まさかッッッッッッ!!!!!!」


狐太郎「眷属隊元一番隊狐組隊長・風の狐太郎。」


渕原「い……………生きていたのか……………………ッッッッッッ!!!!知っていたら………………やらな………かった………のに……………。」


ドサァッッッ!!!!!


白目を向き泡を吹き気絶。

狐太郎の後ろ姿はとても勇ましいものであった。


━━━━━━━━━━━━━━━


その後、警察が来て渕原は連行。

信者たちのメンタル面での診察ならびに回復を応援するプロジェクトも開始。

鳩兵衛の妹も今は病院で入院中である。


狐太郎「…………………良し!!!!!!そろそろ行くか!トシゾウ!!!行くで!!!」


トシゾウ「フゥッー!!!」


ピンポーン


狐太郎「ん?誰やろ。はーい、どちらさんでしょうかー?」


鳩兵衛「八幡です!!!八幡鳩兵衛です!!!」


ガチャとドアを開ける狐太郎。


狐太郎「鳩ちゃん!なんでここ住んでるって分かったんや?!」


鳩兵衛「いや、狐太郎さんが教えてくれたんじゃないっすか!!!忘れたんすか!!!」


狐太郎「そうやっけ…?まぁええわ!妹ちゃん、大丈夫か?」


鳩兵衛「えぇ!お陰様です!それで…………その後父と…母が見舞いに来まして…………。」


狐太郎「おんおん、それで?」


鳩兵衛「また…一からやり直さないかって話に…なりまして。」


狐太郎「そら良かった!!!ええやんか!!!」


笑顔になる2人。

鳩兵衛が今からお出かけですか?と聞くと狐太郎が仲間を探しに行くと告げる。


鳩兵衛「仲間?そういえば…眷属隊とかなんとか…渕原のやつ言ってましたね。」


狐太郎「おう、その隊長格を探しに行くんや。また変な宗教がのさばってるからな。」


鳩兵衛「行く宛てはあるんですか?」


狐太郎「無い!!!」


倒れかける鳩兵衛。

それに電車やバスの乗り方もロクに知らないらしい。


鳩兵衛「………………………僕が着いていくって言ったら…………迷惑でしょうか?」


狐太郎「えっ……………、危ないぞ。それに学校は?妹ちゃんは?」


鳩兵衛「学校は……………実を言うと何ヶ月か前に辞めたんですよね…。ですから良くも悪くも時間はあるんです。」


鳩兵衛「それに妹は目を覚ましたので大丈夫です。父と母がしっかりと見てくれます。」


真剣な眼差し。

少し考え込む狐太郎。

すると肩に乗っていたトシゾウが鳩兵衛の肩に飛び移り顔を舐め始めた。

くすぐったいと笑い合う姿を見て狐太郎は決心した。


狐太郎「八幡の苗字に鳩の名前…。これもなんかの縁やろう。」


狐太郎「よろしゅうな!!!鳩ちゃん!!!」


鳩兵衛「はい!!!」


トシゾウ「フゥゥー!!!」


これから仲間探しの旅が始まる。


狐太郎「ところでひとつお願いがあるんやけど…………。」


鳩兵衛「?」


………………………………

……………………


狐太郎「ちょっと1000円貸してくれへん?この自転車出されへんわ。」


ドサッッッ!!!


駐輪場の画面には1000円を払えと表示されていた。

昨日停めていたのを忘れて帰ったのだった。

大丈夫かこの隊長………………?

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