十六夜<甲>
めいき~
大人のたまり場
※一応、応募は甲で行いますが全回収で行くよ。(´▽`*)
※後、向獅子ラベルは龍が〇くでも有名な山〇の古い奴ね。
<ここから本文>
スナック、そこは大人の桃源郷。今日も花風の様な香水がドアをあけると香る。
夢を見に、竜柄のジャンパーを着こんで寒い夜を独り歩く。
からりとベルが鳴る、カウンターだけの店内に先客の常連がすわって飲んでいた。
月明りが満ち欠けて、星が叩く様に淡雪がきらめく。
街灯に照らされた、悲しい大人の背中が吸い込まれ。
いつまで歩けばいいのかと、ふと憂い顔で暗い空と行く道をゆく。
神宮のごとき神聖さなんか何処にもなくて、女狐と男狸が氷を浮かべ。
薄氷を踏む様に、常連同士が気を使い。
朧月が如く夢を楽しむそんな場所。
明日は、会社で焼原の様な忙しさに追い回され。
男も女も、泥地に沈む様に孤独な箱で眠りにつく。
戌の様に忠犬面して、心の中で十六夜のごとく。
遅れた、月明りの様に佇む。
「いつまで……」と。
新芽の様に、伸びていけと母に教わり。
雛の様な心に、虚仮を貼る。
鹿の角の様に、立派にデカくなったとしても。
春霞の様な、夢だとしても。
毎日を湖畔にたたづむ様に、ただ毎日を生きるだけ。
今日も、カウンターに座って。
猫撫で声のママに、琥珀を受け取る。
ふと横を見れば、同じような樹が沢山。
梅園の梅と同じ、悲しい大人が座っていく。
彼岸が、この世とあの世がもっとも近づくのなら。
ここでは、悲しい大人が晩霜(ばんそう)の様に墜ちていく。
夢を見ては、起こされ戻されて。
鼬ごっこみたいだなと、紫煙を浮かべ。
春潮(しゅんちょう)みたいに、余韻を残す。
夜の夢に咲く歌声が、雉笛みたいに悲しい大人を呼ぶ。
古くなった、腰掛が枯野の様に色あせて。
蜂が花から花へいく様に、ふらりと今日も。
街灯みたいに、規則正しく。
擦り切れかけて、点滅し。
その様子が、何処か時代と懐かしさを感じいる。
黄梅の花言葉は、控えめな美だというけれど。
この店の、雰囲気にうってつけじゃないか。
十六夜がある場所は、田園風景のド田舎で。
横に座っている奴らも、同級生。
博愛って柄じゃないけれど、広く広く愛し愛されて。
向獅子ラベルのマイボトル。
祈る様に、敬虔に。
静かに座って、そっと目を細め。
今日を、笑顔で締めくくる。
おしまい
十六夜<甲> めいき~ @meikjy
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