皆には秘密︎だよ💕︎

華子サイド

　やったよー！

　太郎君に、OKもらっちゃった。

　しかも、私と二人だけの秘密だって。

　ふふふ。

　これじゃ、月子にも言えないな。

　月子には申し訳ないけど、そういう関係って、私は嫌いじゃないんだ。

　太郎君と、秘密の関係。

　太郎君と付き合い始めてから一週間。

　登校中に、たまたま月子が私に話しかけてきた。

「おっす－！　‌華子一、元気してる？」

「月子は、相変わらず元気だねえ」

　月子は、ニコニコしながら、首をかしげてくる。

「あれー。もしかして、その顔。良くないことがあったの？」

「そんなことないよ？」

「そういえば、先週告白するって言ってたけど、どうなったの？」

「そっかそっか、そのことね。私は、ダメだったみたいだよ。他に好きな子がいるみたいなんだよね。心当たりとか無い？」

「えーそうなんだ。華子ならワンチャンあるかと思ったのに。太郎君みたいな人に好かれる人なんているんだね、羨ましいよね」

「うんうん、そんな子いたら、羨ましいよ」

　月子は、ニコニコと話をしてくる。

　いつも通り、機嫌が良さそうだった。

　ふふ。

　月子って、そういうところあるよね。

　私は、太郎君から聞いちゃったから、色々わかるんだよね。

　月子が嘘をついてるってことも。

　私に隠れて、太郎君と付き合ってるっていう事も分かってるんだよね。

　親友なのに、秘密にしているなんてさ、それって良くないって思うんだけどね。

　本当に、親友って思っているんだったらさ。

　ちゃんと言うべきだと思うよ。

「それにしても、太郎君って、先週くらいから元気ないっぽいよね。どうしたんだろうね？」

「どうしたんだろうね？　‌月子、知らないの？月子は、太郎君と仲良く無いんだっけ？」

「え－？私は太郎君と仲良く無いよ一。仲良くなりたいけどね」

「そうなんだ……」

　学校に着くと、私は一人で体育館倉庫裏へと行く。

　太郎君と付き合い始めてから、秘密の密会をしてるんだ。

　これが朝のルーティン。

　ふふふ。

「ねえ、太郎。ちゃんと私との約束守ってるかな？」

「……はい。もちろんです」

　私の前で、ひざまずく太郎君。

　何とも言えない優越感。

　私は、知ってるからね。

　太郎君が八股してるって。

　何かあった時用に、告白の様子はしっかりと録音させてもらいました。

　これをネタにして、どれだけゆすれるか、チャレンジ中なんだ。

「じゃあ、太郎。今日のお願い聞いてくれる？」「どれだけ言うことを聞けば、録音を消してくれるんだよ。それをバラされると俺は学校に入れなくなる」

　上目遣いにお願いしてくる、太郎君。

　どっちが悪いかって、火を見るより明らかなのにね。

「ふふ。まだダメかなー？　‌そんなこと言う時点で、反省が足りてないよー？」

「うぅ……」

　見えない鎖で太郎君を繋ぎ飼いならす。

　私だけの太郎君。

　ふふふ。

　今日のお願いはどうしようかな？

　そうだ、そうだ。

　親友って思ってたけど、私に嘘つくんだよな、月子って。

　ちょっと、いじわるでもしてもらおうかな。

　私は、良い子だから、ちゃんと秘密は守るんだよ。

　これは、私と太郎君だけの秘密だからね。

　誰にも言わないであげるよ。

　太郎が、言う事を聞く限り。

　太郎も良い子にしてるから、ご褒美あげないとね。

　私はしゃがんで、ひざまずく太郎と同じ目線になる。

　そして、顔を近づけて、唇と唇を重ね合わせる。

　私の朝ご飯は、オレンジマーマレードのジャムパンだったんだよ。

　ふふふ。

　主人に従う飼い犬にも優しくする私ってば、良い子だね。

「太郎、好きだよ」

　これが、私の秘密。