太郎サイド
「私、太郎君が好きです」
学年一の美人の華子さんに、体育館裏に呼び出された。
こんなところに呼び出すって言うから、多分そんなことだろうと思っていた。
先週も、先々週も立て続けに言い寄ってくる奴がいるんだよな。
俺もモテ過ぎちゃって困っちゃうな。
「太郎君って、彼女さんいないって聞いたし。私じゃダメかな?」
「いや、ダメってことは無いけれども……」
なおも、華子さんは食い下がってくる。
「私、こんな気持ち初めてで。どうか、私と付き合って下さい」
華子さんは、頭を下げて、手を差し出してくる。
俺が魅力的ってことなんだろうな。
女の子を比べるのも良く無いって思うけど、月子よりも、華子さんの方が、顔もいいって思っちゃうし。
俺って、どうしても、優しさが出ちゃうんだよな。
「どうしてもって言うならさ、俺の言うこと聞いてくれたらいいよ」
「え、本当に?」
嬉しそうな顔っていいよな。
俺まで、嬉しくなっちゃうよ。
「俺と付き合うっていう事は、誰にも言わないって約束できるなら、いいよ」
「えっ? 大丈夫だけれども、なんで?」
「俺が、誰か一人と付き合うってなると、付き合ってる子がいじめの標的にされるかもしれないだろ?」
「確かに、そうかもしれない」
「だから、付き合ってる子を守るってことも考えてさ。もし、それでも、良ければ」
「もちろんです。太郎君ってどこまでも優しいですね」
……はぁ。
……これで、八人目の彼女か。
一日一人ずつデートしても、一週間ローテーション、間に合わなくなってきたな。
モテるって言うのも辛いよな。
それでも、誰も悲しませないで、付き合ってるからな。
俺ってば、良い奴だよな。
これが、俺の秘密。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます