皆には秘密︎だよ💕︎

米太郎

月子サイド

 スポーツ万能。

 勉強も学年トップ。

 性格も、とっても良い。

 そして、なんと言ってもイケメン。

 王子様みたいな人だよね、太郎君。


 そう言ってきたのは、親友の華子はなこ


 放課後の教室。

 大事な相談があるからって、華子が言ってきたんだ。

 私は、用事があったんだけれども、放課後残ったの。

 親友の頼みなら断らないよ。

 私は、友達思いなんです。


 華子は、うつむき加減で、恥ずかしがりながら言ってくる。


「私さ、なんだか太郎君を見ていると、胸が締め付けられるんだよ。恋しちゃったかもって思って」

「うんうん、わかるよ。太郎君ってカッコいいもんね」


 私は相槌を打つ。

 太郎君のことを好きな子は、結構いるんだよね。

 先週も、違う子に同じ相談を受けた。


「それで、私さ。明日告白してみようかなって思うんだ。もうこの気持ちが抑えきれないなって思って」

「なるほどね。太郎君は彼女いないみたいだから、ワンチャンあるかもよ」


「そうだよね。誰にでもチャンスはあるよね。ありがとう相談して良かった」


 華子は、嬉しそうに微笑んでいた。

 そして、恥ずかしそうにして、言葉を付け加えた。


「このことは、私との月子つきこの秘密だからね。絶対に誰にも言わないでね」

「もちろんだよ。私たち親友じゃん。秘密にするよ。たとえ、身近な人であっても絶対に誰にも言わないよ」


 私がそう言うと、華子は話を切り上げた。



 うんうん。

 私も、華子の気持ちを大切にしてあげたいって思うよ。

 たとえ失恋したとしても、それも青春って言うやつだよね。


 私と、華子の秘密。



「ありがとう。遅くまで残ってもらっちゃってごめんね。駅でコーヒーでも奢らせてよ」

「大丈夫。ちょっと私用事があるからさ、先帰っちゃっていいよ」


「そうなの?じゃあ、明日のお昼着るね」

「ありがとう!」



 そう言って華子を先に帰らせると、私は一人で体育館裏まで行った。




「太郎君、お待たせ一」

「遅かったな。何してたんだよ? ‌早く帰ろうぜ」


 明るく笑う、太郎君。


「そうだよね。ごめんごめん。ちょっと野暮用があってさ」


 太郎君は人気者だから、誰にも見つからないようにして下校するんだ。


「俺とお前が付き合っていること。絶対に誰にも言うなよ? ‌二人だけの秘密だからな」


「もちろんだよ。私は、秘密を守れる人です」


 これで、一件落着です。

 私は色んな人との秘密を守れる良い子なんだ。

 友達思いで、彼氏思いだよね。


 ふふふ。



 これが、私の秘密。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る