言葉遊びの意義

 先のページで言葉遊びを提案してみましたが、実際に例を出して説明していきます。

 例に出す作品は私の書いてる作品「森の導の植物少女」の一場面になりますので予めご了承ください。


・言葉遊びのパターン①

 登場人物の動詞を別の言葉に置き換える



 ***



「じゃあ、取引させてくれ! 後生のお願いだ、頼む」

「では少し血を分けてくださいな。三滴ほどで構いませんから」


 男は果物ナイフで指先の上を少し滑らせた。滴る血液を張り巡らされた根のあたりに落とす。



 ***



 こちらは男(一国の王)が華の精にアドバイスを求め、数滴の血と引き換える場面になります。


 ここで言うならば、

 "果物ナイフで指を切った"という描写で済んでしまうところを、

 "果物ナイフで指先の上を少し滑らせた"と描写しています。


 ここでは、一言で済ますことのできる描写を遠回しに表現しました。

 言葉で遊ぶとはこのようなものだと私は思います。






・言葉遊びのパターン②

 登場人物の名前に他のニュアンスを掛け合わせる



 ***



 アルラウネの少女、シニカという名前はフルネームではない。

 助言の一つで人がどのように変わるのか。それを観察することが趣味の魔王。自ら直接手を下すことを決してしないのがルールである。

 彼女の名前は「不殺ころさずの魔王」エフェドラ=シニカといった。



 ***



 こちらの一節は登場人物の正体を描写した文になります。

 ここで説明する言葉遊びとは、不殺の魔王エフェドラ=シニカの名前についてです。

 まずエフェドラ=シニカとはラテン語由来の名前になります。ラテン語表記と聞くと、動植物の学名を想起する方もいらっしゃるかもしれません。


 まさにその通りです。


 エフェドラ=シニカをラテン語で表すと「Ephedra sinica」。

 これは咳止め薬の「エフェドリン」という成分が採れた植物(生薬)の名前になります。その生薬は麻黄マオウという名前なのです。


 お分かり頂けたでしょうか。

 言ってしまえば、ダジャレというものになります。

 意味に気がつくと楽しいと思いませんか?


 このように言葉遊びを──ダジャレを取り入れることも面白さに繋がると思います。ダジャレに気がつく人は一部だとしても、気がつけば面白い。


 こんな作風も実践してみてはいかがでしょうか?






 以下、作品の宣伝になります。


 「森の導の植物少女」という作品をカクヨム様にて連載しております。

 異世界ミステリー×ファンタジーをコンセプトに書き始めた作品となります。

 ご興味がありましたら是非、一読にいらしてください。


・作品URL

https://kakuyomu.jp/works/16817330655743271301

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創作論:言葉と遊ぶ小説執筆 文壱文(ふーみん) @fu-min12

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