第3話「抑えられない気持ち」

 「こんなにかわいい下着、濡れちゃってもいいのかなー?」

耳元に囁く少女の声、乾いた吐息が、鼓膜を揺らして海馬をダイレクトにつついてくる。

「濡れちゃったら、もう替えがないんじゃないの?」

「ああッ!…」

思わず声を漏らす私。それでも尚、彼女は股を撫でる指を止めてくれない。

「それでもいいよ私は。この桜色のパンツに染み込んだあなたの聖水の匂いを、ずーっと嗅げるのなら、私は満足できるもの。」

「冗談はもう沢山だわ。私だって濡れたら困る。その濡れたパンツをアンタなんかにやるのも屈辱ってもんだわ。」

私はこう言って、パンツを下ろす。スカートの下に吹く冷たい風が素肌に当たって、思わず震え上がる。


「何時振りかなぁ。女の子の生の股を見るなんて…

私ももう我慢できない」

少女は血の染み込んだ白衣を脱ぎ捨て、その一糸纏わぬ姿を見せつけてきた。

こんなとこ、誰も見てないわよね?流石にこんな場所に人がいることなんて、考えられないけど。

だからって、こんなことしていいわけがない。私はこの子と、えっちな行為に及ぼうとしているとこだ。

「何するってのよ!?女の子同士で、こんなこと…」

こうは言うものの、少女の発育のいい裸体に見惚れ、私の顔は紅潮している。なんだろう、この気持ちは。よくわからないけど、こんな思いをするのは初めて。

「逃げんなら逃げてみな

私、そっちの方もいけるんだ」


体が疼く。もう、自分を抑えることができなかった。

「焦ったいわね。早くやりましょ。」

 生まれてから、終ぞ人と関わったことがない私。そんな私の、最初のちゃんとした人とのコミュニケーションは、とっても深くて、とっても甘く、そして最高に淫らな交わりだった。


「積極的なんだね、あなた。やっぱり生かしといて、正解だったかも」

耳元で、少女は可愛らしい細い声で語りかける。その声のせいで、私の脳が蕩けそうになる。

「私、人とちゃんと話をしたことなんてなかったの。

とにかく、見下されるのが、怖くって。こんなだから、辛い思いもたくさんしてきた。

ってなんで私、あんたなんかにこんな話を…?」

「いいよ。私も、同じようなものだから。

今はそんなことを忘れる時。体の芯までとろとろに蕩けさせてあげるんだから。」

こう言いながら少女は、私のスカートをずり下ろす。ただでさえパンツを脱いだばかりなのに。こうして私は下半身を露出した状態になってしまった。

もう、私達ったら、なんて変態なの。ここじゃなかったら大問題な行為。でも、誰もいない深い森の中だからこそ、何をしても許されるような錯覚に陥る。


「いい…このすべすべ生脚の美しいライン…たまらない。

でも、これじゃあ物足りない。

…上も脱いでよ。」

……はぁ!?

「そ、そこまでしなくてもいいでしょう!?流石に恥ずかしいし、第一、寒いでしょ!」

「そんなボロい布なんかよりも、私の体の方があったかいよ」


この服がボロいって?一応、結構高い物なんだけど。

「いや、流石にそこまでは…」

「あなた、素直だと思ってたんだけど…嫌なら、あなたの生皮でも剥いでやってもいいんだけど?」

少女はピーラーを取り出して言う。物騒な考えは基本変わらないのね!?

「ひっ!…仕方ないわね。」

上着を脱ぎ捨て、冷え切った風をその身に受ける。

「それも、でしょ」

「きゃっ!?」

少女は、私のブラジャーのホックに手を伸ばし、一気に剥ぎ取った。

「おおっ」

弾けるように飛び出し揺蕩った乳房を見て驚きの声を上げる少女。

「はぁぁ……♡」

これで、私は肌という肌を全て曝け出した姿となった。


「今の私達、生まれたままの姿だよ。一切の穢れもないありのままの姿。」

中身は穢れの塊だと思うんだけど。でもそんなことどうでもいい。

「あなた、身体中が綺麗ね。

雪みたいに透き通った純白の肌に、歪みのない身体のラインの一つ一つ、引き締まったメリハリのある肉付き。まるで天使みたい。」

「て…天使だなんて…

多分、私、褒められたの初めて…」

最も、状況があまりにもアレすぎるわけだけど…


「だけどね?

そんな天使ですらも、残酷に喰らうのが、この私

それは覚えといてね」

「え、えぇ…

喰らうって、物理的な意味じゃなくて?」

「まぁ生きてくために、幾度もそういうことしてきたかな

ただ、汚い性欲の塊みたいな男を食べるのは、勘弁だったかな

私が好きなのは可愛い女の子だから

ほら、寒いでしょ?もっと寄りなよ」

「う、うん…」


生まれたままの姿で抱き合い、素肌を擦り合わせる。

「あったかいよ…あなたの肌、柔らかくて心地いい」

「こう見えても、私、心の中では震えてるのよ

あなたが怖いから」

「怖がらなくていいよ。今のところ私はあなたを殺す気はない

今は、この甘美なひと時を愉しむ時だよ」

「んっっ……」

互いに唇を貪り合う。

口の中で舌を絡み合わせ、互いの唾液が渾然一体となって混ざり合う。

ちゅっ…ちゅっ…と生々しくねっとりした音が鳴る。

この一瞬で、興奮状態になっていくのがわかる。


「興奮、してきたでしょ?勿論私もだけど

じゃ、やろうか」

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死ノモリガール 白天狗 @mcdsybiuy

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