第2話
はあ、もうやっぱりちょっと高い包丁くらいじゃ切るの大変だね。腕が疲れた。念のために買っといたこの枝切りばさみに変えてみよ。ねえまだ生きてるよね。大丈夫だね。住所吐く? 正直に教えてくれたらもうこれで終わるよ。うん。A市D町Fの三丁目―五―三エスポワール、部屋番号は? 四○五。ありがと。じゃあ左手の指も全部切っちゃうね。なになになんなの? もう終わるって言ったじゃないか? あはははははははははははは。嘘に決まってんじゃん。アンタも私に嘘ばっかついて浮気したよね。今度はのこぎりでいくから。なんかねいろいろ調べてたんだけど、昔の日本ってわざと切れ味の悪いのこぎりで処刑してたらしいよ。だから私もおばあちゃんの家からもう使ってなさそうなのこぎり持ってきたんだ。見てよこの錆び具合。銀色の部分が全くないよ。私も腰が痛いし腱鞘炎で大変だけど、頑張るからアンタも頑張って痛みに耐えて死なないでね。
……汗が目に沁みるわ。やっぱり、木と違って肌って切りにくいな。おーい生きてる? なんだ生きてるじゃん。これから堀尾佳純、連れてくるから、それまで生きてるんだよ。死んだら殺すからね。あ、でも死ぬかもしれないし、最後にこのだらしない棒、切り取っとくね。
……汚ーい。こんなの私の中に入ってたのか。もっと時間かけてまともな男選ぶべきだったな。後でいっぱい手ぇ洗お。あれ? おーい、死ぬな。心臓止まってんじゃん。おいおいおいおい、え? 今死ぬなんてありえないから。堀尾佳純を対面で座らせて、目玉、鼻、耳、唇、歯、乳首、おっぱい、手足、全部切り取るところ見届けてから死ねよ。AED用意しとくべきだったかな。
しかたない。堀尾佳純連れてきて、こいつの死にざま、見せつけてやろ。
サレ妻 佐々井 サイジ @sasaisaiji
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