第3話 平和の象徴

「ママ、もう僕学校に行きたくない」


7歳になった真悟は、学校から帰るなり涙目になりながら私に訴える。


私は幼い息子をなだめながら、そしてなかば自分自身に言い聞かせるように


「真悟、見た目がみんなと違うのは当たり前なのよ。違った環境にいたのだから。どっちがいいとか、悪いとかではなく。お互いのいい面をみつけなければいけないのよ」


「でも、でも、みんながいうんだ。僕の足が遅いし、四つん這いで歩かれたらじゃまだって…」真悟は、切れ長の目を悲しそうに潤ませながら訴える。


◇◇


西暦3121年 私たちの星(カラン)は、絶滅寸前だった。そんななか、星難民を受け入れるという奇特な星があった。それが、この星ポヨントだった。この星の許容の広さに感謝して、私達カラン星人はその申し出を快く受け入れた。


食べるのにも困るわけでもなく、住むところもできた。だから、不満を言ったらいけない。そうよ‥。でも、この星にきて私たちはお互いの生態を納得したうえで来るべきだったと痛く反省している。


このポヨント星人ときたら、2つの足でペタペタと歩く。それは、奇妙に首を前の方に動かしながらである。


そう、古代地球という星にいた鳩というものの子孫らしい‥

校長先生が、面談の時に誇らしげに、語っていた。

平和の象徴であったと。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

キャンパス クースケ @kusuk

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ