大晦日の危機一髪

大田康湖

大晦日の危機一髪

 数年前の大晦日のこと。

 以前買ったタコスの皮が半分残っていたので、タコミートを作って食べようと思った私は、タコスの皮を軽く焼こうと思い、トースターに入れた。

 一分ほど目を離した私が焦げ臭い匂いに気づいてトースターを見ると、内部から炎が上がっていた。タコスの皮が燃えているのだ。慌てた私はとっさに冷蔵庫から二リットルの水ペットボトルを取り出し、トースターの扉を開けて思い切り注いだ。幸い火は消えたが、トースターと炊飯器のコード、そしてキッチンラックに炎がかかってしまった。焦げ臭い匂いが台所に広がり、私は冬の最中に窓とドアを全開にして煙を追い出した。

 その後、新しいトースターと炊飯器のコードを家電量販店に買いに行き、年明けに改めて新しいキッチンラックを購入した。本当に火事にならなくて良かったと、今でも背筋が凍る思いだ。

 その後、しばらく家でタコスは作れなかった。ようやく最近は作れるようになったが、タコスの皮を使うときにはレンジの前で見守りながら軽く温めることにした。


おわり


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