起動

 アレイスたちに魔族との戦いを任せている間。


「ふんふんふーん」

 

 僕は魔法で探り当てた邪神が眠りし場所へとやってきていた。


「どうするかなぁー?」


 このままちょっくら戦ってもいいし、ただ眺めるだけ、封印されている状態のこいつを一方的に嬲り殺して魔族に自慢させるのもよい。

 あえて復活させた後に放置させるのもなしではない。


「んー」


 僕が邪神をどうするか。

 それをひたすらに悩みぬいていく。


「まぁ……でも、やるべきことはやろうか」


 約束は守るべきだよね。

 一応、邪神復活の阻止のために今の僕は動いているわけだし。


「うしっと、これが邪神封印の地ね。結局のところ……魔族どうこうよりこっちを弄って魔族が封印に解消できないようにしてやれば」


 僕は邪神の封印へと干渉し、解れかけていた封印を修復すると共に更に新しく、どんどんと上から封印を重ね合わせていく。


「……んっ?」


 そんな折。

 僕がいじくり回していた封印へと誰かの手が加わったことを敏感に感じ取る。


「……はっ?」


 それを感じ取った、その次の瞬間。

 一気に邪神の封印がほどけていく。


「……あっ、だめだこりゃ」


 誰の干渉かは知らないが、一気にほどけていった邪神の封印。

 それを僕には止められそうになかった。


『ァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』


 一瞬にして崩れていった邪神の封印。

 そこから、封印を脱して自由となった邪神が起き上がってくる。

 

「……まっず」


 僕はすぐさま起き上がった邪神から距離を取っていく。


「……」


 邪神の状態としては中々無理に封印を解いた影響だからか、知性も感じられずに実力としても全盛期からはおそらく数段落ちているように見受けらえるが……それでも、神の一柱であるがゆえにしっかりとした実力は持っているだろう。

 

「……」


 このまま邪神を放置すれば周りに感化できない被害が出るだろうし、ここで止める必要があるだろうが、今の僕だと……ん?

 ……。

 …………。


「……ちっ」


 いや、違う。

 僕は僕らしく、自由にやろうではないか。

 なら、ば。


「……よし、やるかぁー、どうせ暇だしな」


 僕は自分に言い聞かせるように言葉を吐き、邪神と向き合うのだった。

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ゲームの悪役貴族に転生したので、悪役らしく女を囲い欲望のままに生きながらもゲームのシナリオは無視するはずが、ヒロインからも、敵の女キャラからも目をつけられているのですが リヒト @ninnjyasuraimu

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