裏
アレイス、ゼノ、ノア、天使の四人が魔族たちと激闘を繰り広げていた頃。
一連の流れを掌握している当の本人であるルガンは今、どこに行っているか。
その行方を知っているのは唯一人、天より地上を眺める女神だけであった。
「……難儀な子ね」
働きたくない。
それすなわち、誰にも縛られたくない。
生まれた時より己の意思でのみ生きることを至上とし、ただ自由を追い求める少年は今や複雑な運命に巻き込まれていた。
自由を求めて行動する中で、棚ぼたで手にしてしまった自由。
自由を求める行動にこそ価値を抱きつつあった少年は現状に対して、無意識下での反発を抱いていた。
ゆえに時折無茶な行動を繰り返すことで己の自由を何者かが束縛することを望むも、どの障害も特に壁となることなく簡単に乗り越えてしまった。
既にもう少年は己の夢が叶い、何を求めて良いのかもわからなくなっていた。
ただ暇になっただけとも言う。
『ふんふんふーん』
さりとて、邪神や魔族。
体よく己の暇を解消してくれる存在を倒すことに関しては周りの意思によるものなような気がして拒絶する。
そんな複雑でくだらなく、つまらない。
自分勝手な最低のクソ野郎。
「もう少し、周りを受け入れる器量があれば違ったのかもしれないですけど」
そんなルガンを眺める女神は憐みのこもった声色で呟く。
「……ですが、私は女神ですから。どうしようもない貴方であっても愛してあげますよ。前世からの仲ですからね」
だが、その声色の中には確かにな湿っぽさと粘つくような執着の色も込められていた。
『うしっと、これが邪神封印の地ね。結局のところ……魔族どうこうよりこっちを弄って魔族が封印に解消できないようにしてやれば』
人の身でありながら、いつの間にか手にしていた神々と同じ力を振るって邪神の封印へとせっせと干渉していくルガンを見ながら。
「目覚めなさい、邪神。少しでも、彼の暇を解消してあげられるように……」
女神は今、自らの手で邪神を復活させた。
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読んでくれると嬉しいです。
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