夫の秘密に探りを入れました
達見ゆう
秘密の話?
夫のリョウタの様子がおかしい。前からソシャゲに夢中だからスマホを持ち歩くが、それでもトイレに行く時は置いていた。
しかし、最近はトイレにまで持ち歩き、風呂にも防水してまで持ちこむようになった。そして誰かと話しているのか、ボソボソと声がするときもある。
浮気の定番の行動はスマホを持ち歩くというが、まさか。いや、あんなメタボに走る女はいるのか? しかし、蓼食う虫も好き好きというし、キャバクラのオネーサンに貢いでいるのかもしれない。
私は様子を探ることにした。
とりあえず、リョウタが一人になるタイミングになるように私がお風呂に入った。
そして音をなるべく立てずに早めに上がり、廊下から耳を澄ませてみる。
ボソボソして聞こえにくいが「ヒ・ミ・ツ」と言っているように聞こえる。
秘密? いったい何の秘密だ? 浮気そのものも秘密だが、浮気相手(推定)に秘密と言うのはなんなのだ?
もしや、プレゼントの予定があってそれを秘密と言ってイチャついているのか?
今、ドアを開けてもいいが、まだ様子を見よう。
「……ヒ……ミ……ツ」
まただ。何かをもったいぶっているのか?
私への秘密のプレゼントならこんなに秘密という言葉は連発しない。やはり浮気相手か、キャバ嬢か! 思い切ってドアを開けてみた。
「NO,repeat!」
「He,Me,Too」
「NO,repeat!」
「あー、また失敗。あれ? ユウさんいつの間にあがってたの? 見られちゃったかー」
「な、何を?」
私は平静を装って尋ねる。
「英語のアプリ。発音問題で間違えたところの復習してるんだ。TooとTwoとか意外と難しくて。こんなの恥ずかしくて聞かせられないからコッソリしてたのだけど」
なんてこった。全ては私の勘違いだったとは。浮気を疑った私が恥ずかしい。いや、そうじゃない。
「誤解を生む行動するなー!! 正しいHeの発音させてやるー!」
お約束の四十肩マッサージの刑をリョウタに施す。
「Heeeee!!」
夫の秘密に探りを入れました 達見ゆう @tatsumi-12
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます