第2話:目的にあった書き分けって大事だなって

 ※今回縦組み設定を推奨します。

 お手数ですが変更してお読みください。


 だいぶ前にお世話になった『ある日の役者たちの自主練』というプロジェクトの朗読公演に行ってまいりました。

 お世話になた時の話をしてるエッセイあったのでリンク貼っておきます。

 そんなに詳しく書いては無かったですが…。

 ※この頃、他にもこの作品を朗読していただく機会があったため。

 自作を朗読してくださったのは2021年です。

 カクヨムでしか桜木を知らない方からすると、「え…その作品を朗読してもらったの⁉︎」って感じかもしれないですが、当時読んでいただいたのは『(雫のイラスト)』です。

 当時の仕様によりアーカイブが残っていないのが残念です…。


 第1話:あけてしまいました。今年もよろしくお願いいたします。

 ちょっとばかし、思う事がありまして。(2022年)/桜木 彩 - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/16816927859644691091/episodes/16816927859644764271


 基本的にはSNS(Twitterのスペース)でのオンライン企画なんですが、今回オフライン…つまり実際の劇場を使用しての朗読公演を行うとのことで、とても楽しみにしていました。

 しかも、作品提供の作家様も常日頃お世話になってる方々でしたし。


 この企画、基本的に書籍化問わず様々な作家様の未書籍化作品を使用しての朗読なんですよ。

 なので、普段のオンライン朗読だとカクヨム等の小説投稿サイトに投稿したそのままを朗読していただくイメージなんですが、今回の有観客朗読は書き下ろし作品ということもありとても興味深かった。

 前にも話したことあったかもしれないですが、『(〇〇のイラスト)』の一つに舞台脚本があるため、何か参考になったらいいなぁ…と。


 結論から言うと、めちゃくちゃ参考になりましたね。

 今回の書き下ろしは『朗読脚本』の書き下ろしではなく、あくまで『短編小説』の書き下ろしという印象でした。

 いや、それが悪いのではなく。

 元々そういうコンセプトで活動しているプロジェクトなので正解と言っても過言ではないんだと思う。

 つまり、脚本形式で書かれているわけではないんだそう。

『じゃあ、何が参考になったん?』って話かと思うんですけど。


 まず、朗読って基本的には視覚情報無しで楽しめる演劇形態だと思うんですよ。

 なので、本来だったら演者の動作で済む部分の説明をする必要があるわけです。

 小説とかでもそうですよね。

 登場人物のセリフがどんなニュアンスだったかの説明文あるじゃないですか。

 でも、この説明文の扱いが朗読劇の場合難しいなと思ったんです。


 例えば…↓この自作を抜粋してざっくりした書き分け例を考えてみる。


 幼き日の記憶①

 林檎喫茶のお姫様/桜木 彩 - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054884028098/episodes/1177354054919009071


【小説なら】


 黄昏に染まる頃、近づく男女の影があった。


 少女は隣のブランコに腰掛けると、唐突に言の葉を紡いだ。

 まるで唄うように。


 蛇はなんでも丸呑みするんですって。

 血肉を味わえないなんて『勿体ないな』って思っていたけれど、じんわりと溶かされるのもいいかもしれないわね。

 ゆっくりと時間をかけて溶かされて、身体の一部になるの。


 不思議な内容の話に首を傾げると、ふわりと風が少女の髪を揺らした。



 ↑こんな「」使った台詞のないシーンを例に考えてみました。

 ※端末によって改行の文字数が違うためこちらで改行設定はしていません。


【舞台脚本なら】

   虹輝、足音に気付き視線を上げる。

   蒼、空いているブランコに腰掛ける。

   健太、蒼の背後に立ち

   蒼、少し視線を上に向けながら

 蒼 「血肉を味わえないなんて『勿体ないな』って思っていたけれど、じんわりと溶かされるのもいいかもしれないわね」

   虹輝、蒼に視線を向ける。

 蒼 「ゆっくりと時間をかけて溶かされて、身体の一部になるの」

   虹輝、蒼に視線を向けたまま首を傾げる。

   蒼、虹輝側の耳に髪をかける。


【朗読脚本なら】

 ナレ「空が黄昏色に染まった頃、2人の男女がブランコに近づき、少女は空いているブランコに腰掛ける。虹輝はほんの少しだけ浮かんだ期待にそわそわする。だって、今まで虹輝に話しかけてくれる人は居なかったのだから」

 蒼 「血肉を味わえないなんて『勿体ないな』って思っていたけれど、じんわりと溶かされるのもいいかもしれないわね」

 ナレ「本当に何の脈絡もなく、少女は言の葉を紡ぐ。挨拶でも遊びの誘いでもないその言葉はあまりにも唐突で、虹輝は反応することができなかった。けれど、少女の紡ぐ言葉の続きが気になり視線を向ける」

 蒼 「ゆっくりと時間をかけて溶かされて、身体の一部になるの」

 ナレ「ミステリアス…そんな言葉がしっくりくるような印象の少女だった。けれど、やっぱり意味は理解できなかった」



 みたいな感じなのかなって。

 何となくニュアンスの違い伝わりますかね…。

 脚本なんて書き上げたことがないので温かい目で見て欲しかったりしますが…。

 いわゆる『地の文』って、『行動説明』と『心の声』とで違うじゃないですか。

 朗読の場合は、視覚情報が無い前提な分使い分けが難しいんだろうな…なんて思ったりもしました。

 ナレを使って説明文にも感情いろを付けられるからこそ、ちょっと変えてみても面白かったりするのかも。


 あと、小説の方には記載した『まるで唄うように』という部分を舞台・朗読共に記載しなかったのは、そもそも演者が表現してくれるから。に尽きます。

 情報が重複した方がいい事としない方がいい事ってあると思うんですが、ここはあえて重複させずお客さんが受け取った印象に委ねたくて書きませんでした。



 ちょっと、書きたいこと書けなかったけど文字数かなり多くなってたので次回に書きます。

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ちょっとばかし、思うことがありまして。(2024年) 桜木 彩 @aya_sakuragi

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