第37話 無法区画へ向かう準備

     ※


 部屋に戻り着替えを済ませた。

 この後はミラと合流するわけだが――その前に、やらなくてはならないことがある。


 俺は秘匿回線を使い恋に連絡をした。

 何度かの呼び出し音の後、


「大和?」


 恋の声が聞こえた。


「恋、協力してほしことがある」


「……何か、トラブル?」


「そうだ。

 悪いが……俺の妹になってくれないか?」


「え……?」


 電話の先から、気が抜けたような声が聞こえた。

 俺の発言の意図が読み取れない。

 そんな思いが伝わってくる


「ちゃんと説明するから、質問は待ってくれ。

 実は――」


 恋が疑問を口にする前に俺は事情を説明した。

 作戦は単純だ。

 嘘を真実に変えてしばいい。


     ※


「……無法区画で会った人が、学園の先生って……」


「再開した時は、正直肝が冷えたよ」


「……とりあえず、妹のふりをして欲しいってことはわかったよ。

 でも、場所はどうしよう?」


「無法区画内で適当に使えそうな場所を見繕ってくれ」


 自宅を使うのはリスクが高い。

 ましてや、セブンス・ホープの隠れ家に呼ぶわけにもいかないだろう。


「時間は?」


「移動時間も含めて……2時間ちょっと、かな。

 買い物もして行くつもりだから、できる限り時間を稼げればと思う」


「そうなると……遅くても19時くらいに到着、だね」


「ああ。

 突然ですまないが……」


 恋たちには、昨夜のテロリストに関しても見張りを頼んでる状態だ。

 


「大和の為なら、このくらいなんでないよ。

 それに……頼ってくれるのは嬉しいから」


「よろしく頼む」


「あ、でも……何か買いに行くならお土産よろしくね。

 楽しみにしてるから」


「みんなに、お菓子でも買っていくよ」


 俺がそう伝えると、恋は準備を始めると言って電話を切った。

 こちらも無法区画に向かう準備を始めよう。

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人に価値が与えられる学園で~ここから始める反逆と逆襲~ つきのわ @tukinowa_kumasanchi

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