第4話 再構築

「知らない天井だ」

 いや、言ってみたかっただけだが、本当に見知らぬ天井だ。

 病室なのは分かる。そして、体には包帯が巻き付けられていた。


「あ、伽羅きゃら君、目が覚めました? いま先生呼びますね~。しかし、また迷宮ダンジョン再構築リビルドに巻き込まれるなんて大変ねぇ」

 ドアから顔を覗かせたおっとりとした看護師さんがインカムで何かを伝えながら入ってきた。


迷宮ダンジョン再構築リビルド……。俺ってどれくらい寝てました?」


「もう三日ぐらい寝てましたよ。まあ、胸にガッツリ傷跡も残ってましたし、危機一髪って感じでしたよ。一緒に潜っていたクラスメートが応急処置をしてくれたみたいですけど、良く無事でしたねー」

 胸に傷、それで身体中包帯でグルグル巻きにされているのか。


「クラスメート? 俺、ソロで潜ってたんですけど……。それに、クラスメートにはまだダンジョンに入っている奴は居なかったと思います」


「あれ、そうなんだ。てっきり前回の入院で懲りてクラスメートとダンジョンに入ったんだと思ってたわ」


「前回?! 俺、ここに入院するの初めてですよね、って、そう言えばここ、どこですか?」

 どことなく話が噛み合っていない気がする。


「えっ?! 伽羅きゃら君、もしかして、お姉さんの事も覚えていなかったりする?」

「えっ?! はい、すみません。全く覚えてないです」


「えー、ショック~。っと、先生呼んできますね!」

 慌てて部屋を出る看護師さんを見送った。


 思い返すも最下層で迷宮ダンジョン再構築リビルドが始まった直後で記憶が途切れている。


 ただ、白い髪に紅い眼の何かを見たような気がしたのを思い出して自然と手が震えていた。



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迷宮管理者 水城みつは @mituha

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