誰かとの優劣を競う美しさに重心を置いて生きる事は果たして幸せだろうか。誰かとの優劣を競う華美に意味はあるのだろうか。この作中の寵妃は、もしかしたら、あなたの自尊心そのものかも知れません。幸せの本質を見失わないで生きていく事を、ゆめゆめお忘れなきよう……。
ハレムで、あまたいる美女のなかから、皇帝の心を鷲掴みにし、寵愛を独り占めした女。その女は、ある秘密を抱えていた。その女は、死んだ。そこから話は始まるのである。なぜ死んだのか?その秘密とは?そして、その寵姫の葬列に、一人のボロキレのような人物が、よろよろと進み出る。愛の狂気。謎。真実の愛。そのようなものが巧みに織り交ぜられた、ホラーチックな秀作です。いったん読み始めたら、先が気になって、気になって、最後まで一気読みですよ!
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