4#なっち、意外な幕切れ

 みんなーー!!助けてぇーー!!私をイノシシから降ろしてーー!!


 しかし、人間達はイノシシに必死にしがみつく私をガン無視した。


 「イノシシに犬がしがみついてるぞ!!」


 「ぬぁにぃーー!!」


 「犬が盾になってイノシシをしとめられない!!」


 そんな警官のやり取りが、私の垂れ下がった耳にドッペルゲンガーになって聞こえた。


 私が居るからぁーー?!


 じゃあ、イノシシが止まらないと、そして私が降りないと?!


 そんなの無理ゲーだわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー!!



 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!



 私はこのまま巨大イノシシの背にしがみついたまま街を抜けて、川の橋を渡ると・・・


 あれ?私の街の向こうにこんな豊かな自然あったっけ?


 散歩はもっぱら街中だけの私は、そのだいぶ行ったの方に鬱蒼とした山林があった事に目を疑った。


 巨大イノシシは私を乗せたまま野を駆け、林を抜け・・・



 ずざぁーーーーーっ!!



 うわぁーーーーっ!!



 べちゃっ!!




 いきなりブレーキをかけて急停止した巨大イノシシの反動で吹っ飛んで、私は野原のど真ん中にある泥の中に墜落した。


 「戻れたぁーーーーー!!僕の山に戻れたぁーーーー!!」


 突然巨大イノシシは、泥の中でもがく私に飛び付いてきた。



 ばっしゃーーーーん!!



 「ありがとう!!ありがとう!!僕の上に飛び付いたわんこ!!ありがとう!!ありがとう!!」


 おぇっ!!おぇっ!!苦しいっ!!

 泥の中で抱き締めないでっ!!


 「わんこー!!僕の危機一髪を助けてくれてありがとう!!


 あ、僕はこの山の主の『ぶーた』。

 空見上げたら風船飛んでてね、風船を追いかけてたら人里に来ちゃってさ、 


 右も左も訳わからなくなって緊張して硬直して、動けなく鳴っちゃったの。


 もしこのまま動けなくなってたら、人間にいとも簡単に捕まってたかも知れないんだ・・・


でも、君が飛びついた事で僕にやっと鞭が入ったんだ。

 もと来た山に戻ろうと逃げる勇気にスイッチが入ったんだ。


 だからありがとう!!わんこありがとう!!」


 私は、イノシシに泥塗れになって抱かれて逃げられなくなった。

  

 うわーーー!!今度こそ危機一髪!!

       

 抱きしめられるってこういう事?!


 早く飼い主の元へ帰りたーーーーーーい!!!!!


 





 〜なっち危機一髪!!〜


 〜fin〜

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なっち危機一髪!! アほリ @ahori1970

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