第17話 おわりに
僕の両親の介護生活は思いもしない展開で終わりを迎えた。
(父が他界、母は老人ホームに入所)
そしてサラリーマン社会にも再び復帰してみようと就職活動していた中で
年齢を理由になかなか決まらない時期があって不安だった。
無職ってこんなにも不条理を味わうものなのだろうかと。
50歳になるとこんなにまで見向きもされなくなるものなのだろうかと。
毎日が不安だった。
でも
仕事が見つからないなら、自分で職業を作れば良い。
そうすれば無職ではなくなる。
屁理屈のように聞こえるかもしれないが、あるとき僕は本当にそう思った。
以前、占い師から「アナタの手相には途中から運命線が途絶えている」と言われたことがある。
それはサラリーマンのように継続した仕事やキャリアがないことを意味しているのだと。
言われたときはものすごくショックで憂鬱になった。
当時は心のどこかで他の人達と同じような生き方をすることで安心を得ようとしていたからだと思う。
でも今は違う。
それは真っ白なキャンバスと同じ。
これから自分の人生を描いて行けるのだ。
むしろそんな運命線などなくて良かった。
くっきりと線があったら既にやることが決められているという意味だから。
そして今だったらその占い師にはこう言い返したい。
「アンタがオレの手相を見てそう思ったというだけだろ」と。
これからは決められたことに追いかけられるのではなく、
自分が決めたことを追いかけるのだ。
------------------------------------------------------
50歳の時、いろんなものを手放した。
もう誰も住むことのなくなった実家と故郷。
自分の今までのキャリア。
サラリーマンという生き方。
------------------------------------------------------
最後に。
50歳の時の9月12日(火)。
近所の公園で考え事をしていた時に心に湧き上がってきた言葉がある。
本当に人生を大きく変えたいなら
本当に幸せな未来が欲しいなら
今までのやり方をすべて変えろ
今までとは違う考え方、物の見方
今までとは違う言動
今までとは違う日々の過ごし方をしろ
この言葉は、僕自身がその道を歩むことでのみ実現する。
そして僕には想い描いている未来がある。
それは過去の焼き直しでもなく、今までの延長線にあるわけでもない、まったく新しい未来だ。
サラリーマンのままだったら決して辿り着くことの出来ない景色だ。
その場所は自分の翼で飛ばなくては見つけることができない。
柵を飛び越えて牧場の外に出ていかなければ辿り着けない。
それが「自由」という名の未来だ。
僕はサラリーマンを辞めて自由を選んだ。
---------------------------------------------------
おわり。
最後までお読み頂き、有り難うございました。
ボイジャー
僕はサラリーマンを辞めて自由を選んだ ボイジャー @okamoriya256
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます