よく1円合わなくて帰れないとか言うけど、今8億円合わないから

ワシュウ

第1話 危機一髪

タイトル通りだな

経理とか店のレジ締めとかでよく1円合わなくて帰れない!残業やだ!とかよくあるじゃん?

ヤバいの8億合わなくて


アチャー


俺オワタ\(^o^)/


何でだ?

え?昼ごろまでは問題なかったはずなのに…え?

何で何で何で何で何で何で??


変な汗かいて、もう靴下まで汗でびっちょり


ちょ~ヤベッw とかの次元超えてる…

1から調べ上げよう落ち着け、落ち着け、落ち着け…


ここで私の残念なスペック

藤原雅之39歳独身、彼女なし、一人暮らし、地方大学卒業後就職、転勤何回かあって関西に帰ってきた。

平社員からリーダーへ、そしてチーフになってここに移動してきたのが5年前。


そろそろマネージャーになり、エリアマネージャーになると給与がプラス10万らしい


さてと…詰みだ!


汗かいて手が震えてもう駄目駄目!

帰れなーい!お家に帰りたーい!

なんでこんな日に限って誰もいないんだよ!

誰か今すぐ俺を殺してくれ!強盗来ないかなぁ…

天井爆発して落ちてきたら?

どうしたらいいんだ!たすけてお母さーん


脳内でひとしきりぶっ壊れた後で、バンッ!とドアが開いた

今日の昼ごろ移動してきた若手のイケメン上司(29歳)の名前なんだったかな?


上司「す、すみません!データ移行中でしたっ!!」


「お前かっ!!

よかったー!俺のせいじゃないやん!

はぁ~良かった!マジでビビったわ!後1時間来るのが遅かったら、誰もいないところで首吊りしてたからね?

ってか凄いね、君1人で8億?何なの?スーパー仕事できる奴やん、凄いね」


上司「え?俺の分だとそこまでは…」


「え?」


上司「え?」



2人でサァーっと血の気がひいた

それから2人でわちゃわちゃしながら残業した。

結果から言うと、この青くなって残業してる上司の移動前のミス発覚。

修正がきく期間内でどうにかなったよ…深夜に本社の偉い人に電話して、代わりにしこたま怒られてあげました。

人間、不思議なもので、自分のミスだと思うとパニクってアプアプになるけど、他人のミスだと分かった瞬間、余裕が出て気が大きくなるよね。現状は何も変わってないのに!

いくつか案件見せてもらって1本化出来そうだったからまとめた。

余計なこと言わず重要な事だけ教えて、関連は自分で調べてねとメモだけ残す

コイツ仕事できないわけじゃないし、こんなけ焦ってるから無責任な奴ってわけでもないのかな。

なんか移動早々に仕事の相談とかで呼び出されてたらしい。(※後になって女の子と飲みが発覚)



でも朝チュンなんて男としたかねーよ!

空が明るくなってきた。ひぇ


俺は会社の近くに住んでたから一度帰ってから3時間後また出社

ここで一緒に帰ってこのイケメン上司とナニしてしまうとか無い無い


3時間後そこには魔法でも使ったの?ってくらいスッキリ奇麗になっていた上司が既にいた。


上司「藤原さんお疲れ様でした」


どうやったらそんな爽やかな顔で挨拶できるの?

俺の顔は出社前に家で見た時は10は老けてたのに

「…おはようございます」

来たばかりだけどもう帰りたい、39は繊細なんだよ!

胃もメンタルもお肌もお通じも!

俺は白髪が増えたの!何そのサラツヤの黒髪!


俺は知らなかったけど

疲れてげんなりしたこの俺の挨拶を勘違いした女の子がいて

「藤原(←俺呼び捨て)が松永(上司)さんに態度悪いのよ、無いわー嫉妬ォ?」

と話していて、いつの間にかその噂が女子社員の間で広まった。


と言うのも俺の今いる支社って40代後半のオッサンばっかりで39の俺でも若い方だった。

逆に女の子は20・30代ばかりで29歳本社から来たイケメン独身上司は狙い目だったんだな。

新卒の女の子から37のお局様まで漏れなくメロメロだった


この上司は俺以外の他の社員にはフレンドリーに話すのに、俺にはすっごく気を使って話すの

何なの?申し訳ないとか?借りができたから?

ハッ…もしかして偉そうに先輩風吹かせてあれこれしたのがいけなかった?ひぃすみません!


俺は女子からはすこぶる評判悪いけど、年上社員からはそこそこ評価があった。今回の件が昇進に響くこともなく、マネージャーに昇格した

当然だ!褒められても貶されるはずないだろ?多分


歓迎会とかノミニケーションがなくなってしばらくたつけど、このイケメン上司のは別らしい

俺以外は全員参加してたって喫煙所で先輩に聞いた。


「だって俺誘われてないですもん…まぁ忙しかったのは本当だけど。メモも無かったし、掲示板にも飲み会なんて予定無かったですよね?」


先輩「一斉メール来てない?時間と店の住所載ってただろ?」


「来てねッス…まぁ忙しかったし別にいいかな」嘘ですちょっと寂しい!


先輩「お前は今度ので移動だもんな、お前の送別会も兼ねてるかと思ったけどな」


「そうなんスよ、独身ってこういう役回り多いですよね」


先輩「この移動をきっかけに結婚とかするの?」


「アハハー…〇〇のメグミちゃんとね」

この先輩は既婚者で2児のお父さん

同じ趣味のアニメにハマってて〇〇のメグミちゃんは某アニメキャラだ。


後ろでドサッと何かが落ちた音がした。

振り返ると上司の松永がダンボール落としてた。

先輩と拾おうと近づく前に

離れた席に座ってた女の子たちが俺と先輩を突き飛ばして駆け寄りダンボールと散らかった中身が元通りに。


俺と先輩はそれを見て仕事に戻ったけど


「松永さんが困ってるのに感じ悪いわね」とちょっと大きめの声が聞こえて来た。


俺と先輩はあえて振り向かなかったけど感じ悪いのお前らじゃん?

まぁもう移動するし騒ぎ立てたりしないよ



だがしかし、その週明けに事件がおきた

俺が身に覚えのないセクハラで別の部署の上司達に呼び出されたのな。


潔白を訴えるけど、数名の女の子から連盟で人事にリークがあったらしい。

「本当に身に覚えのない事なんですけど?誰がそんな事を??」


プライバシーとか何とか言われたけど、本当に身に覚えのない事だし知らずにセクハラになってたらいけないから、仕事以外に話しかけないようにするために誰か教えてもらった。

37歳独身のお局様と新卒の女の子2人が人事に言いに来たらしい。


俺の担当でも何でもない。

そもそも、移動する予定だから移動先の案件ばっかでこっちの担当は引き継ぎくらいだし、それも先輩達が元々やってた分だからスムーズに進んでる。

先々週の上司のポカの分を手伝っただけで関係ないよな?

女の子達と同じ部屋にいるだけで接点すらない、飲み会も行ってないし


「あの…言っていいか分からないですけど、反論しないとこのままじゃ納得出来ないので言います!

電車の痴漢冤罪じゃないですけど、セクハラは嘘じゃないですか?昇格したから藤本(お局様)さんが僻んでるとかないですか?

あの人、俺と同期らしいですけど、仕事できないのに性格キツッ…アタリが強いですから」


人事と別部署上司の人も俺の言い分を聞いて調べると、その話しは保留になった。

週末に移動先に出張の予定が入ってたから

「あの、フレックス休暇と有給を申請するんで出張先に前乗りしていいですか?

俺が知らずにパワハラ・セクハラしてたら申し訳ないので…それにあっちで部屋探したりしたいですし」


人事「わかりました、こっちでやっときます。ウイークリー(社員寮)も今週から2週間抑えておきます。急ぎの案件とか無かったですよね?」


「無かったと思います。よろしくお願いします」


昼休み、女子は外のお洒落な店に食べに行って部屋にいないのを見計らって、弁当持参の先輩社員数人にその事を丸っと相談した。

労いと憐れみの言葉をもらい今日はもう早退して明日から行けとお言葉をいただいた。

上司には先輩から報告いれてもらうことにして、掲示板にも一応書いておいた。

帰りに新しいパンツとか歯ブラシとか出張の用意を買って帰った。


モヤモヤする気持ちを吹き飛ばすために始発で県外の移動先へ

早く着きすぎて寮のパスコードがまだメールで送られてきて無かったから午前中はレンタル自転車で会社の周りを散策した。

不動産屋が空く頃に物件見せてもらって近くを内覧もさせてもらった。

地方って家賃安いから助かるね

駅前のコーヒーショップでノートPC開いてメールの確認して軽めのランチを済ませる。

パスコードが届いてたから寮に行って荷物置いてちょっとだけ仕事して……1人楽っ!

最近引き継ぎとかでスムーズとは言え忙しかったし…女子社員に無視されるの地味にキツかったんだな。

この、開放感たまらん!えー、帰りたくねぇ


駅前のリサイクルショップで中古自転車が3000円だったから買って週末までのんびり部屋探ししながら駅前を散策する。※帰る時また売りに来る


移動先の部署は新設してまだ間もないピカピカ。

複合ビルの3階フロアで、上も下も別のテナントが入ってる。

俺と、もう一人他県から移動してきた人が定年前のベテランで温和そうな人だった。

すぐに仲良くなってお昼に話したら、本当は定年だけど、指導役として1〜2年だけシルバー採用でいるらしい。


西村「私が無事にお役御免になるために君に頑張ってもらわないとね。

こんな事言ったらプレッシャーになってパワハラになるのかな?ハハッ」


「今どきの若いもんじゃないですから、西村さんも遠慮なく厳しい指導をお願いします!」


ぶっちゃけすっごい仕事しやすかった。

だってみんなでチヤホヤ褒めてくれるもん

「専門的なのに教え方が分かりやすくて助かります」とか

「あの資格持ってるんですか?凄いですね」とか

「残業しなくても良くなりました」とか、みんなで褒めて俺をどうするつもり?


新卒の男の子と地元が同じで、それだけで懐いてきてくれてちょっと嬉しかったりする。

お昼一緒して地元ネタで仲良くなった感じ?あそこ潰れたとかどこそこに店がオープンしたとか。


出張期間終わりに近づいた頃に先輩から電話が来た。


第一声が

「お前、帰って来なくていいからな!」


うそん…泣きそうやねんけど!


「お前の英断だよ、良く聞けよ―…」


俺がセクハラで呼び出されてからそのまま帰宅した後の話し――…

上司は、何を勘違いしたのか俺の移動(転勤)が早まったと思い込んだらしい


上司「えっ、送別会とかは?」


「…この前のが送別会も兼ねてたと思いますけど、なんかあいつだけ呼ばれてなかったみたいですよ?可哀想に!

本人も気にしてないって言ってましたけど、そうゆう会ってここ最近は無かったんで別にしなくてもね?」


上司は面食らって驚いてから落ち込んで

「てっきりミスした上司と思われて嫌われてるのかと…」


先輩「ミスした??いやいや、あいつそんな好き嫌いないですよ、勘違いじゃないですか?」


上司「……移動が決まって結婚するのにお祝いも無いんですか?」


先輩「結婚?誰が?あいつ彼女なし独身ですよ??」


上司「え?〇〇のメグミさんは?」


先輩「あぁ~、アイドルの追っかけです(汗)」

アニメキャラと言わなかった先輩の優しさに感謝した。


上司「そうだったんですか…勘違いしてました恥ずかしい」


「それより、あいつセクハラで藤本さんと新人2人組から訴えられてますけど…心当たりあります?」


上司「え?!」


「お局様…藤本さんとあいつは同期で、昔はあいつが付きまとわれてました。セクハラされてた側なのにおかしな話ですよね?」


上司「その話詳しく!」


先輩が大袈裟に「一回軽く飲みに行っただけで結婚を迫られて、ストーカー紛いの事もあって穏便に断るのに苦労してた」と話した。流石にありもしないのに盛りすぎだ…


しかし、そのお局様は上司に俺に誘われて困ってると相談してたらしい。

上司も訝しんでいたけど、放おっておけず相談に乗ってたとか

初日にこのお局様につかまって長い話に付き合い帰るのが遅れて、俺に迷惑をかけたらしい。


上司「どちらが本当の話か私はここに来てまだ浅いので判断に迷います…」


先輩「なら〇〇さんとか〇〇さんに聞けばいいですよ。俺と一緒に藤本さんに注意したことありますから。

若い娘みんな知らない事です、ここに来る前でしたし」


それから掲示板に出張期間を伸ばした事を書いてたのに、俺が出社しないのを何故かセクハラして退職したと噂が出だした。


噂を流してるのは一目瞭然お局様の藤本さんで「あいつしつこかったのよ、せいせいするわ!」とか、新人2人も鵜呑みにして一緒に俺の悪口言って上司に纏わりついてた。


俺がいなくなったと勘違いしたお局様の次の矛先が新人2人に向いた。

自分もたいして仕事してないくせに「新人2人がペチャくって仕事しない使えない」と給湯室で他の部署の人たちに話す。

新人2人がそれを目撃すると、あっさり手のひら返して人事に「セクハラ嘘です、アラフォーで(女子社員の中で)1番古株だったから信じて協力してしまいました。藤本さんの方が本当は誰からも全く相手にされてないのに可哀想な人なんです」と暴露した。

なぜこの事を先輩が知ってるのかと言うと、新人2人が上司に「人事にも同じ説明をしたのですが…」と前置きして昼休憩に部署で暴露したから。


お局様と女子社員のグループが昼食から帰って来て、部署の雰囲気に気付いた女子社員がこの時お局様からスゥ~と離れた。

先輩は女の勘パネェよ、泥舟から蜘蛛の子を散らすように離れたからと笑ってた。


上司「話があるのですが、今お時間良いですか?」


お局様「今夜のお誘いなら空いてますけど?」


新人A「プッこの期に及んでまだ空気読めないとか」(コソッ)

新人B「アラフォーのキツイ勘違いイターって感じ」(コソッ)


お局様「はぁ?意味がわからないんですけど?仕事がのに口だけは一人前ね?

使えないゴミは藤原みたいにクビになればいいのに」


先輩は俺に気を使ってそのまま伝えようか濁そうか迷ってそのまま伝えてくれた。


「酷い言われようだけど、移動するし別に気にならないですよ」


先輩「そうやんな?お前はそう言うと思った

けどここからが何ていうか…聞きたい?」


「聞きたいですけど…え?そんな躊躇するほど罵詈雑言の嵐?」


先輩「違うんだよ、上司ブチギレ…俺らドン引き、お前は帰ってきたらアカンやつや」



上司が叫んだ

「いい加減にしろ!

藤原さんは…雅之さんはクビになんてなってない!新設の事務所に栄転だ!

初日に会ったばっかりの俺のために残業して俺のミスした分をカバーしてくれて、各所に電話してくれて代わりに怒られても嫌な顔一つせず親切で優しくて俺の理想の凄いカッコいい人なんだ!

翌日も疲れた顔してたのに俺に気を使って出社してたんだ!

そんな恩人に君たち態度悪すぎだ!

歓迎会は誘わなかったそうじゃないか!

俺のこと嫌ってるとか話しかけないほうが良いとか言ってたな!君たち業務妨害で訴えてやる!」



何それ、俺のことそんな風に思ってたんかい!

やだ、かっこいい!好きになっちゃいそう!

「ちょっとスカッとしました。」


先輩「まだまだ、それから―…」


それから、お局様をどんどん追い詰める

「セクハラ虚偽の報告を人事にした君たちは降格処分だ!

新人の君たちの採用は無かったことになる!明日から来なくていい!」


新人2人は不当だと言い張ったけど


「勤務態度、仕事の把握量、昼休みは時間通りに帰ってこないだろ?

ここは学生の集まりじゃないんだ、社会人なら結果を出して時間とルールは守って当たり前だ!私は雅之さんほど甘くない!

それに君たち2人はまだ仮採用期間内だ。不当に当たらない!正式に君たちは願い下げだ!」


新人2人は泣きじゃくると部屋から出ていった。人事に泣きついてたらしい


お局様「私は本当にセクハラされたのよ!」


上司「証拠は?雅之さんのスケジュールでは藤本さんと被りませんよね?いつですか?」


お局様「えっと…仕事終わりに、待ち伏せされて、あとプライベートのメールとか電話で…気持ち悪いから消しました!」


上司「仕事終わりのいつですか?」


お局様「え?…えっと…先々週の頭です」


上司「私が来てから雅之さんの退勤時間は私より遅いです、定時で帰るあなたを一体いつどこで待ち伏せするのです?

プライベートのメールや電話だってブロックすれば済む話ですよね?」


お局様「違った…松永さんが来る前です!」


上司「退勤時間は遡って確認できます、嘘偽りはないですか?」


お局様「…本当は3年前です」


上司「5年前にあなたが雅之さんにしつこく言い寄って迷惑をかけていたと証言があります。

5年前のメールを確認しましたが、社内メールを使ってあなたが誘ってる文章なら見つけてコピーしました」


お局様「……チッ」


上司「歓迎会に呼ばなかったのは何故ですか?」


お局様「……だって松永さんが嫌がってると思ったんです。気を使って話しかけてるし…」



先輩が「この先どうなったと思う?」と勿体つける


「あ、この先聞きたくないです!」


先輩「この先が最重要だ!良く聞けよお前のためだ」


絶対に面白がってるこの人!



上司は悔しそうに握りこぶしを作って立ち尽くし

「それは…私が悪いんです

私が勝手に好きになって、嫌われてると勘違いして話しかけるのが辛かったから…

業務連絡も特に無かったし、もっと早く、もっとたくさん雅之さんと話しておけばよかったと後悔してます

彼には申し訳ないことをしてしまいました、合わせる顔がない」


悔し涙を流すイケメン上司はカラコンが外れて茶色混じりの碧眼が露出した。

このイケメン上司は髪も本当は薄い茶髪のハーフらしい。通りでイケメンだと思った。

女子社員は薄々知ってたらしい


そんでもって、俺のことを本当に好きだったとか、飲み会楽しみにしてたのに来なくて悲しくてショックだったとか、結婚すると勘違いして諦めようと努力してたとか、なんか退勤後に待ち伏せして話しかけようとしてたらしい。

話しかけようとして自宅アパートもバッチリだと


会社の近くだから男性社員は殆ど知てるし良いけど…


だんだん引いていく男性社員とは別に

ハーフイケメン上司の涙ながらのカミングアウトに女子社員は心打たれてもらい泣きしてたらしい。


先輩「あのお局様ですらウルウルやで、ドン引きやろ?」


「ドン引きです…」


先輩「でな、肝心のお前の出張バレたで!

山崎さん(女子)が『掲示板に出張って書いてありましたけど来週戻って来るんですよね?机だってまだ整理してませんし?』って普通にバレた。

『まだ諦めなくていいんだ』って笑ってたで…」


「うぉぉぉぉ…」


先輩「今な〇〇さんと〇〇さんが人事に掛け合って本人が希望したら移動早めてくれんかって…今回の騒動お前悪くないのにちょっと酷かったからって。

…上司のナニちょっと膨らんでたから」


「うぉぉぉぉ!?」

俺のケツ狙ってんの?マジで?イヤー!


先輩「上司は関東から来たから距離感わからんやろ?」


俺の地元は神戸

支社は大阪、新設の移動先は京都


神戸から大阪通って京都行くのに電車だと早いのに乗れば1時間かからない、通勤圏内だよ


先輩「でな、上司がカミングアウトして脈なし思ったんか、お局様がお前のことまだ好きだったとか言い出して…

降格ついでに関東に転勤なるって聞いたで、まだ正式じゃないけど」


実は5年くらい前にお局様に、「私たち付き合おうか」と何度目かのサシ飲みに誘われた時に告られて、全然タイプじゃなかったから

「ちょっと考えさせて」とやんわり断った。

それからしばらくしつこく仕事中も飲みに誘われて、見かねた先輩が注意してくれて落ち着いた。

もしかしてその時の恨み?怖っ!


その後、先輩がサクッと俺のデスクを片付けて「荷物は送りました!」と、先輩が車で直接届けてくれた。


先輩「ここまで来るのに45分かからんかった…思ったより近いな」


「ありがとうございまーす!寿司行きます?回るほうの」


先輩たちのファインプレーで俺のバックヴァージンは守られた。

情けないけど…ハーフ上司のナニが大きそうでめちゃめちゃ怖いです

人間的には嫌いじゃないよ?けどねぇ?


部屋の引っ越しも管理会社と業者に鍵を渡せばお任せでやってくれるらしい

無事に危機を乗り越えられてよかった。



ピンポーン…「私です、雅之さんいますか?」



END

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よく1円合わなくて帰れないとか言うけど、今8億円合わないから ワシュウ @kazokuno-uta

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