聖女召喚

みちのあかり

待てど暮らせど

 キキィィィ―――――――――!


 目の前でトラックが急停止した。体ごと振り返った私の目の前5センチ先にヘッドライトが光る。


 思わず放した傘が風に舞って消えていった。


「あぶねーじゃねーか! 以前だったら死んでいたぞ!」


 私は運転手さんに謝り、足早に家に帰った。


 最近、こういうトラックとのニアミスが多い。ほぼ毎日。もう3ケ月もだ。

 今日も危機一髪で難を逃れたよ。ある時は急に立ち眩みで動けなくなったり、またある時は、何もない所で転んで動けなくなったり。


 自動運転が義務化される前だったら、命がいくつあっても足りなかったね、っていろんな人から言われる。



「今回も駄目だったか」

「はい。20年前は成功した召喚魔法が、なぜか機能しなくなりました。向こうの世界のトラックなるもので召喚する魔法。術式は完璧なのですが。聖女召喚できなければ、この世界は」


 科学技術の向上が異世界を滅ぼすことになろうとは、誰も知ることが出来なかった。

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聖女召喚 みちのあかり @kuroneko-kanmidou

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