ワタシと愛しき生徒達との戦い

ハンターシーカーアルゴリズム

第1話ワタシと愛しき生徒達との戦い

 ワタシことエリー・カーペンターは


 日本の小学校の英語講師である。


 日本語を学び、伊賀市というニンジャの里の小学校に英語の講師と

 して潜り込む事に成功したのは昨年の春。


 校庭に植えられた桜の花びらが舞い散る青空の日だった。


 カルフォルニア大学を卒業したけど、良い就職先が見つからないで、バイトでもするかと落ち込んでいたワタシ。


 英語に子供の頃から慣れさせとくという方針で日本政府が行っていた英語講師募集に飛びついた。


 勿論日本への興味もあった。

 ニンジャとか居るんでしょ。楽しみ♪


 と当時は思っていた。


 伊賀市はニンジャの里と事前に調べ、わくわくして訪日したが、他所の都市と何ら変わりもなく、ニンジャも居なかった。


 路地裏の影に黒装束のニンジャが潜み、米国人であるワタシを監視してる!

 なんて事も期待したけどそんな事はなかった。


 こちらに来て半年経った今でも路地裏を覗いたりするけど、お婆さん達が路地裏会議をしているくらいで何もない。


 故郷のサンフランシスコと違い、お婆さん達が路地裏会議できる治安の良さはニンジャが影で見張ってるおかげと友人のメリッサが言っていたけど冗談よね?


 心配していた日本の子供達との交流も問題なく、皆可愛くワタシに懐いてくれた。とても素直で可愛い子供達だ。麻薬をキメてる子が一人も居ないなんて天国よ。


 そう思っていた。


 いや、子供達は可愛いの。でも彼らはニンジャなの。小さなニンジャ達なのよ!


 そうニンジャは実在するのよ! 


 そして少しばかし、いや、ワタシにとって彼らは超危険なの!


 講師を務めて半年、ワタシはニンジャ達との戦いで持病が悪化し、手術の為に入院する事になった。


 一昨日退院し今日から小学校の講師を再開する事になった訳だけど学校へ入ると朝礼前に廊下で遊んでいた皆がワタシに気づき笑顔で迎えてくれた。


「せんせー、退院したのー」


「そうよー」


「先生ー、退院おめでとー」


「ありがとう、将太くん」


 ワタシは走り寄って来る将太くんを素早く体を廻し正面に捉える。


 じりじりと睨み合うように見つめあう。

 隙を見せないようにしないと! 彼もニンジャなの!


 横を見ると、小猿のような顔の雷太君が居た。

 彼は素早い動きをするので油断ができない!


 手を動かして牽制する。


「あっ! 退院したの? 先生っ!」


 この元気な声は絵瑠奈ちゃんね。


 ワタシは、どんっという感じでぶつかって来る絵瑠奈ちゃんを受け止め、頭をわしゃわしゃしてあげる。


 この娘は一直線で良い。とても良い! 

 余り警戒しなくてよいもの!


「「「せんせー!!!」」」


 後ろから聞こえて来た三つ子の三姉妹の突撃も受け止め、順番にわしゃわしゃだ。

 彼女達は甲高い声を上げて大喜び。可愛い。ニンジャだけど。


 元気組の突撃を受けた後はクラス全員のワタシへの突撃が来た!

 ワタシはくるくる踊るように体を回転させ皆を受け止める。


 と、静かに忍び寄る長い黒髪の影が。


 ワタシを入院に追い込んだ一撃必殺のニンジャの技を持つ女の子。


 彼女は強敵だ。実はワタシが入院したのは彼女の一撃が原因だったりする。


 久しぶりに会った、彼女の動きはさらに素早くなっていた!、入院で衰えたワタシの目を欺き、他の子の影に隠れ滑るように移動する。

 まさにニンジャだ!


 ちょ、見失った!!!


「……とったぁぁぁ!!!」


 普段は大人しい彼女の叫びが後ろから聞こえた!

 油断した! 後ろを取られた!


 オーマイガー!!!


 ワタシの尻にすべり込むように彼女は小さな両手の平を合わせ人差し指を突き出す。


 後ろを振り向くと下から突き上げる槍の如くその指が突き上がって来た!


 危険! 


 手術したばかりの『痔』に! また恐怖の『病院送り』の一撃が刺しこまれる!!!


「カンチョーォォォォォォ!!!!!」


 彼女が甲高い声で叫ぶ! 興奮してる顔がちょと怖い!





『カンョウニンジャに気をつけろ』




 小学校に赴任した時、前任者に言われた言葉。

 彼はお尻をかばうように歩きながら本国への飛行機に乗って戻っていった。


 そして赴任してワタシは知った。日本の学校にはニンジャが居ることを。

 日本の小学生達がカンチョウニンジャだった事を。


 ワタシは半年の小さなニンジャ達との戦いののち敗北し入院した。


 けどもワタシは入院中、ベッドの中で必死にお尻の筋肉を締め鍛えて来た。

 対抗策は練って来たのよ。


「させないわ!」


 ワタシは入院中に鍛え上げた尻の筋肉を引き締め校門を守る!

 前回は元々痔だったワタシに致命傷を与えたその一撃はワタシの鍛え上げ分厚くなったお尻の筋肉に阻まれる!


 感覚からするに校門まであと1mm。


 まさに危機一髪!


 彼女は残念そうな顔でワタシを見上げ、再度狙ってくるがもう、油断は無い。

 捕まえて頭をワシワシしてやった。


 直撃されてたら再入院してたかもしれない。


 カンチョウニンジャは恐ろしい。


 ……可愛いけどね♪







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 お下品にならないよう、校門はわざと誤変換しております

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