還相回向《げんそうえこう》・甘い黄昏

紫風 春紀

─₊୨୧₊─・往相回向・─₊୨୧₊─



 そのき叫ぶ声は憎しみをはらんでいた。


 新月の夜の高原へ手を繋いでいく。


 露が足元をぬらす。


 見上げた宇宙そらの星々はあまた輝き、ことさら美麗なのは彗星の尾。


 地球も美しき星々のひとつだと知った夜。


 星々の空は白みはじめる。夜と朝が溶け合う曖昧な空気。吹きすさぶ一陣の風。


 世界中を照らしきよめる初日の出の煇。


 海岸線で煌めく波の道筋の先に太陽が昇る、永遠はあそこ。ほんの一瞬の永遠だけれど、永遠はそこに、指さした先にある。


 ふれあう体温のぬくもり、ミルクの甘い香り。


 混ざり合う鼓動の音。かわす視線の輝きと、熱さ。果てしなくあふれてくる温かい気持ち、これが愛。


 わたしを優しく抱きくるめる死。


  ……あなたからわたしへの贈りもの。


          わたしはあなたの最愛。

 

                 永遠に。



 哭き叫ぶ阿鼻叫喚すら死にゆく者への愛詩。


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還相回向《げんそうえこう》・甘い黄昏 紫風 春紀 @Sinpo_haruki

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