友達ってなんだろう?

夕日ゆうや

わたしは人形が好き

『お友達は百人作りなさい』

 そう告げた母の眼差しはキツかった。

 わたしは友達を作った。

 必死で。

「この子ははるき、こっちはりく、あなたはかいと」

 わたしは当たり前のように人形に名前をつけていく。

「おい。男なんて連れ込むなよ」

 厳格な父はわたしの人形を睨み付ける。

「お父さん。これはお人形なの」

「……ならいいが」

「この子ったらまともな友達を作らないのよ!」

 母は相変わらず冷たい視線を浴びせてくる。

「いいだろう。この子たちは立派な友達だ。な? 絵路えろ

「うん。わたしの大切な友達」

 わたし絵路は深く頷く。

 父は寛大だ。

 わたしの趣味を理解してくれている。

「それにしても初年度から絵路の通う小学校で行方不明が増えているのよ」

「それは怖いな。絵路も気をつけなさい」

「はい」

 わたしは父が大好きだ。

 母は怖い。

 だから、わたしは父も友達にしたい。

「きゃ、な、何をするの! 絵路」

「止めなさい! 俺を――」

 息の根を止めると、わたしは人形にして上げた。

 これで永遠に一緒にいられる。

「パパも立派な友達よ」


 わたしはにんまりと笑みを浮かべた。

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