第2話

榊原 綴(さかきばら つずり)18歳

俺の彼女への第一印象は可愛いだった、それ以外なにも思わなかった。

むしろ彼女を見るたびに、彼女を知るたびに嫌いになっていた。

自分自身その理由は分からなかった、分かってこなかった。

だが、今日その理由を少しだけ分かったような気がした。

彼女の一言で思い出した、彼女と出会っていたこと。


「あ…‥」

 

確か俺がまだ5歳くらいのことだったと思う。

俺はよく神社にある公園で遊んでいて、近所に住んでいる女の子と毎日遊んでいた。

 

「まさか、あの時の!」

「やっと思い出してくれた?」


まさかあの女の子が俺よりか年上なんて思わなかったし、高校が一緒なんて考えてすらなかった。


「久しぶりだね、麟」


急な呼び捨てに少しドキッとした。


「よくここで遊んでたよねー」


俺はあの女の子と出会ってからずっと一緒に遊んでいが、あの女の子は急に来なくなった。

ずっと待っていた、しかしその子が来ることはなかった。


「それで?質問の答えは?」


あの質問は最後に会った時にされが、あの時となにも答えはなにも変わっていない。


「もちろん、一切信じてないし、憎みまくってますよ」

「やっぱり君はあの時からなにも変わってないね」

「そういう先輩はどうなんですか?」

「もちろん信じているよ」


正直この質問は自分でも馬鹿だなと思った。

先輩は小さい頃から毎日神社に必ずお祈りしていた。

(そう言えば先輩、あの時おばあちゃんと一緒に来ていたよな)

 

「先輩はあの時から神社に通っているんですか?」

「ええ、あの時と変わらずね。」


何か引っ掛かるような言い方だった。

何かがあったのかも知れないが、気のせいかも知れないので聞くのはやめておいた。


「それで、君はなぜこんなところに?」


こんなとこに、というのはなぜ俺がこんな所にてことだろう。

 

「ラーメンのためです」

「ちゃんと答えて」

 

少し先輩は口を膨らませて可愛らしく怒った


「バイトです」

「バイト?」

「はい、親友のためにわざわざこんなところでバイトしてるんですよ」

「あーそういう事ね、麟がこんなところに来るわけないもんね」


正直わかっているとは思っていたが、少しびっくりした。


「おーい、りーん!」


陽太があからさまにご機嫌な様子で俺を呼んでいた


「じゃあ俺呼ばれてるんで、」

「分かったわ、じゃあまたどこかでね」


正直あまり会いたくないが、

とりあえず呼ばれているので行くことにした。


「おい麟、お前誰かと喋ってたか?」

「いや誰もいなかったぞ」


明らかに嘘をついたがこいつに話すとろくなことがないのでやめておいた。


俺たちはその後もきちんと仕事を終わらせてバイトは終わった。

陽太はちゃんと好きな人と喋れたようで、帰りに散々その嬉しさをあらわにした。


「ただいまー」

「兄さん、おかえりー」

「おう、今日の晩飯はなんだ?」

「今日はハンバーグだよ」

「お、そりゃいいな、出来たら言ってくれ」

「分かったー」


俺はそう言って部屋に行った。


「今日は夏休み初日にしては流石に色々ありすぎた」


まさかあの先輩があのときあった女の子だったとは。

これまで何回も先輩を見かけたが全く気づかなかった。

それにあの質問正直言ってめっちゃ嫌いだ。

俺が信じているわけ無いのに、先輩分かってて質問してただろ。


「にいさーん!ご飯できたよー!」

「へーい」


あの時の先輩を思い出すと、昔のことを思い出す。

父さんと、母さんのことを。
























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

神様 佐藤 はる @satouraru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ