第110話 想いは続く!

 22xx年x月xx日(木) 天候:雪


 今日は、寒いのう。もう、12月か……。あんなに暑かった時があったなんて、夢のようじゃ。もう、世界中どこへ行っても、大丈夫じゃ。

どこでも、普通に生活できるようになったんじゃ。



 50年か…………早いもんじゃの~




 この日誌も、今じゃデジタル録画じゃ……ワシは、あれから何回記録したんじゃろ?

 仲間で順番に記録しながら、未来の地球を思い描いていたが…………こんなに早く夢が実現するとは、思わなかったぞ~。




 ホワン、ホワン、ホワン、ホワン~……………


「お!出動じゃな!」



『ヒートブロッカー……出動せよ!……ヒートブロッカー出動せよ!』




 ふんっ……何がヒートブロッカーじゃ、カッコつけおって!

 わしが、もう少し若ければなあ~……66歳じゃ空中回転も出来んけどな。

 …………それにしても、太陽たいようさんは頑張るの~もう75歳じゃというに、“宇宙環境研究所”なんぞ作って、所長をやってるもんな。


 そこで、指揮官だっていうんだから、驚きだわ。



 あいつは、新しもの好きだから、すぐ調子に乗りおって“ヒートブロッカー”とか言ってるけど、“オンダンV”の跡継ぎじゃろが!







『ブロックレッド、行きまーーす!』

 あれは、シーセンセと校長の孫だな……センセに似てメンコイ女の子だわい。



『ブロックブルー、行きまーす!』

 今度は、太陽さんと南中子みなこさんの孫だな……あの一家は、両親も研究所で働いてるから、研究一家だ。ミー先輩同様、頭がいい女の子だぞ。



『ブロックイエロー、行きまーーす!』

 あれが、ウチの孫じゃ。マナばあちゃんは、今日も応援に来とるのかの~。唯一の男の子だけど、ワシに似て面白いやつじゃぞ!



『ブロックピンク、行きまーーす!』

 これは、教頭と事務長のところの孫じゃ。ここもメンコイ女の子じゃ。なんか、いろいろな特技があるって言ってたけど、わしゃ忘れたぞ。



『ブロックグリーン、行きまーーす!』

 ほんとに、歳をとらんなー……コロナちゃんは。まだ、現役だもんな~。旦那のマグマさんも一緒にやってるから、楽しいのかもな?






 今じゃ、コスチュームも変わったしな。

 昔のように暑くないから、きちんと上下の上着付きじゃ。なんでも、太陽さんのデザインだとかで、昔のどっかの学校の制服らしいんじゃが、ワシは気にいっとるんだ!

 ワシらの頃より、イケてると思うとる!

 あのヒラヒラの短いスカートがいいのおお!




「こらっ、アッツじいさんや!何を鼻の下伸ばしてるんじゃ」

「あ!マナばあさん、そ、そんなことないんじゃ……わしゃ、みんなを応援に来ただけだし…………」


「嘘を、つきなさんな!……最近、孫達が出動の度に、デッカイ望遠付きのカメラ持って行くくせに!

 …………………偶には、あたしも撮らんかい!」



「はい、今すぐに、撮りますから!

 ……………………なあ?マナばあさんや、あのヒートブロック戦隊のコスチューム着てみんか?今、借りて来るからよ…………」



「いいよ、行かなくても!」



「やっぱ、ダメかのう?」





「行かなくてもいいの!

 あたしが、この間、太陽ちゃんに特別に作ってもらったのあるから、早くウチに帰りますよ!」


「お!そっか、そっか……じゃあ、ウチで撮影会じゃあ!」






 とにかく地球は、平和になったのだった……地球はね!



★記録者:中村 熱太郎(アッツ)



【地球観測日誌は、これで終了です】

 みなさま、長い間、お付き合いいただいて、誠にありがとうございます。

 “新オンダンV”は、“ヒートブロッカー戦隊V”として、日夜活躍しています。


 どこかで、その活躍を見たら、また、応援をよろしくお願いいたします。

 それでは、さようなら。

 ありがとうございました。


(完)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

🌞戦え!地温研同好会。地球の熱を冷ますんだ!!~それいけ!オンダンV〔ファイブ〕~ 根⛵九里尾 @kurione200

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ