愛され悪役令嬢は今日も死亡フラグを回避する

可愛い義弟

「ふわぁ...。」

よく寝たぁ...。

昨日は無事に終わったという安心感から即寝だったな。

なんにせよ、とりあえず一番の死亡フラグは回避した。

このまま他の攻略対象との死亡フラグも回避出来れば、憧れのスローライフにたどり着けるはず！！

「失礼致します。」

「おはよう、マーガレット。」

「シャーロット様、おはようございます。今日も良い天気ですね。」

かんわいいぃい。寝起きからのマーガレットの笑顔はかわいすぎる。

今日もマーガレットは癒しだなぁ。

「シャーロット様、今日の午前の予定はどうされますか？」

うーん今日は特に予定も無いし、本でも読んでゴロゴロしようかな。

「今日は図書館に行ったあと部屋にいるから、何か食べられるものをもってきてくれる？」

「承知致しました。午後からは義弟様との御対面があるとの事なので、昼食のあとに旦那様の執務室においでください。」

ん？

「マーガレット、もう一度言って。」

「？？午後からは義弟様との御対面があるとのことなので、」

ん？ん？

義弟？

あ、

忘れてたぁぁぁあ！

そういえばこの時期だったけ...。

イアンのお見舞いの件ですっかり忘れてた...。攻略対象の中で一番シャーロットへの敵意があった人物で、一番身近な死亡フラグ。

もうほんとに嫌になる...。

...なんでこんなにいっぱい死亡フラグがあるわけ！？！？！？

………… …………

【アルト・ルーウェン】

攻略対象で公爵子息のアルト･ルーウェンはシャーロット･ルーウェンの義弟となる人物。

つまりイアンよりもずっと身近な死亡フラグ...。

アルトルートの出会いは学園の図書館でのこと。

ヒロインが取れなかった本をアルトが取ってあげるという王道な胸きゅんシーンから始まる。

ゲームでは「夜の闇を思わせる美しい漆黒の髪に思わず引き込まれてしまう紫色の瞳」と表されているように黒髪紫色の瞳の、影を持つ儚げな美少年。

そしてその性格は...超超超冷酷！！

性格が悪いという訳ではないんだけど、誰に対しても常に距離を置いていてヒロインにも最初はかなり冷たく接するんだよね～。

まぁ、そうなった原因もシャーロットなんだけど...。

幼少期、両親が事故で亡くなってから、血縁関係にあったルーウェン公爵家に引き取られるんだけど、そこで義姉のシャーロットに虐められるという何とも哀れな攻略対象。

ただでさえ両親を亡くして心を閉ざしているのに、さらに虐められるとか...もう完全にアウト。

そりゃ誰にも心開かなくなるよね...。

そんなアルトの心を救ってくれたのがヒロイン。

最初は冷たく接していたアルトもヒロインの優しさや純粋さに触れていくうちにだんだん笑顔を取り戻し、傷も癒えていくんだよね。

そしてもちろん、それを邪魔するのが悪役令嬢シャーロット。

我儘で性格の悪いシャーロットは義弟が自分以外を優先するのが許せないという身勝手な理由でヒロインを貶めようとするんだけど、どれも失敗に終わり最終的にはアルトによって断罪される。

イアンルートと同じくシャーロットは国外追放、公爵家も没落...

国外追放...？あれ？確かアルトルートはハッピーエンドでもシャーロットの処刑は確定だったような...。

ん？ハッピーエンドでも処刑？

ってことはハッピーエンドでもバットエンドでも死ぬってこと...？

うわぁぁぁあ、そうだった！！！

幼い頃からシャーロットへの憎悪がものすごいアルトルートでは、どのエンドでも死亡確定だった...。

イアンはシャーロットに対してもはや無関心って感じだったから国外追放だけで済んだけど...。

はぁあどうしよう...。

あ、そもそもアルトのこと虐めなければいい話では！？

もともと誰かを虐める気なんてないし、普通に仲良くなればいい話だよね？

前世では一人っ子だったからずっと兄妹は欲しいと思ってたし！

美形な義弟ができるなんて本望だよ！

それに、変に避けて嫌われたりしたら本末転倒だしね...。

そうと決まれば...アルトと少しでも仲良くなれるように頑張ろう！

………… …………

－午後－

「お父様、失礼致します。シャーロットです。」

「待っていたよ、愛しのロッテ〜！！今日も可愛いねぇ～！！」

「ちょ、あ、あのお父様...ご要件を。」

相変わらずお父様はシャーロットへの溺愛ぶりが凄い...。

「あぁ、ごめんよ。マーガレットから聞いているだろう。この子が今日からロッテの義弟になる子だよ。」

「あ、あの...えっと...アルト...ルーウェンと...申します...。」

！？！？！？

...なにこの天使...可愛すぎるんですけど！！？！？