ゲートから逃げたくて

4#スタート！！

　入っちゃったよ！！僕の嫌なゲートの中！！

　ゲートから出たい！！　　

　このゲートから出たい！！

　狭いこのゲートから！！

　このゲートから！！

　このゲートから・・・

　ガシャンコン！！！！

　その瞬間、ゲートの前扉が開いた。

　・・・出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい！！！！！！

　《各馬一斉にスタート！！最初に行ったのは、外枠発走の3番マーロウです！！》

　僕は、ゲートから逃れたい一心で飛び出したその反動で先頭に躍り出ていたのだ。

　やだーーー！！ゲートなんか嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁ！！

　ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド！！！！！

　僕は一心不乱に走った。無我夢中でゲートの魔の手から逃れたいが為に。

　ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド！！

　「おいーー！！マーロウー！！厩舎の先生に大逃げしろって言われたじゃねーだろ！！

　ずっと中団は脚を貯めて、最後の直線で勝負って！！」　

　鞍上の騎手の怒鳴り声も馬耳東風、僕は逃げて逃げて逃げて逃げて遂に逃げたまま最後の直線に。

　ゴーーーール！！

　「おいおい！！マーロウ！！勝っちゃったよ！！」

　鞍上の騎手が僕のタテガミを撫でたとたん、僕は正気に戻った。

　勝ってしまったのだ。

　ゲートから一心不乱に逃げ出したら、そのまま新馬戦を勝ってしまったのだ。

　検量所に戻る僕を、厩務員と先生が労っていた。

　「マーロウよくやった！！ゲートから入れなかった時、またか！とドギマギしてたけど、結果オーライだよ！！

　でもね、勝ったからってね。またゲート審査するかも知れないから。

　そうしないと、次のレースに出られないよーー！！はっはっは！！」

　ぎくっ！！

　〜ゲートから逃げたくて〜

　〜fin〜