3#やっぱりゲートに入る

 「5番マーロウ号は外枠発走となります。」


 場内のアナウンスが轟く。


 僕は係員に渋々従って、困惑する騎手を背にゲートの外枠の前に連れて行かれた。


 そして、



   

 ばさっ!!



 あれ・・・前が見えない!!


 そうなのだ。


 僕は、ゲートへの恐怖を抑える為に係員に顔を黒い袋を被せられたのだ。


 見えない。前が、何?


 係員に押されて、僕は真っ暗の中を歩いている。


 思い出す。


 ゲート審査失敗して厩舎に帰って寝ると必ず見る夢・・・


 1回目は、ゲートに入ったとたんに周囲に得体の知れない魔物が僕の周りにチョッカイを出したり、


 2回目は、他のライバルの馬達の幻影がゲートの中で怯える姿をヒソヒソ話で嘲笑って神経を攻撃してきたり、


 問題は、3回目のゲート審査不合格の夜の夢だ。

 僕の入ってるゲートの上からそして下から突然しゅ~~~ーーっ!!と巨大風船が膨らんできて、僕をムギュムギュと押してきた。

  

 苦しい!!苦しい!!胸が!!尻が!!タテガミが!!


 どんどん膨らむ風船に押されていく!!


 どんどん大きくなるゲート内の2つの巨大風船・・・ 


 割れる!!割れちゃう!!僕は風船が割れる音が苦手なのに!!


 ひえーーー割れる割れる割れるぅ!!!



 そして、ぱぁーーーーーーん!!も2つの巨大風船が割れたとたんにビックリ仰天!!


 壁に頭をぶつけて目が覚めたあの瞬間。


 ゲートが、ゲートが、僕がゲートに入らなければレースがスタートできない。



 ばっ!!



 顔の黒い覆いが外されたとたん、僕はゲートに入っていた。

 

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