2#ゲート怖い

 僕の目の立ちはだかる巨大なゲート。


 そこにあるだけで、クラクラする金属の棒で各馬が入るように仕切られたゲートが、  

 「おいでおいで入っておいで!!」

 と手招きする。

  

 僕は、僕は、僕は・・・


 実は僕は、競馬のゲートがこの世の中で1番苦手なんだぁーーーー!!


 レース前に、この四方八方塞がれた世界に何で入らなきゃならないんだぁ!!


 僕は・・・実は・・・


閉所恐怖症なんだぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!!


 僕は思わず後退りした。


 「おいおい!マーロウ!入れよ!!」


 僕の鞍上の騎手が、グイグイと背中を押して僕をこの悪魔の箱・・・ゲートに連れ込むよう急かした。


 嫌だ!!嫌だ!!僕は入りたくない!!

 こんな狭い場所なんて!!


 僕は絶対に入らないぞ!!こんなに狭い所には金輪際入らないぞ!!二度と入らないぞ!!

 

 僕は他の競走馬テストに゙合格しても、ゲート審査だけは何度も何度も何度も何度も何度も何度も!!

 不合格だったんだよ!!


 僕がゲート審査で合格出来たのは、たまたま僕の入るゲートの周りにスズメバチがブンブン飛んでてな、

 ゲートに入る直前に、僕の尻にスズメバチの針がグサリ刺さったとたんにビックリしてそのままゲートに入っちゃったんだよ。


 そう、あの時のゲート審査の合格は『まぐれ』だったんだよ・・・!!


 「おいおい!マーロウ!!何でゲートの前で後退りするんだ!!」


 騎手の催促の声には、僕には馬耳東風。


 ゲートの扉を見た途端に、全身に拒絶反応が・・・


 競馬場のスタンドの客達のざわめきが、僕の耳に入ってくる。


 それでも僕は・・・!!僕は!!


 やっぱりゲートに入らなければならないんだ。


 もうこのまま厩舎へ走って帰りたい・・・!!

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