ゲートから逃げたくて

アほリ

1 #ゲート入り

 競馬場に、ファンファーレが鳴っている。


 この新馬戦に、僕と一緒に走るライバルの゙馬達が騎手を背にゲート前でグルグルと輪乗りしている。

 

 うわー緊張する・・・!!


 ドキドキする・・・!!


 僕の初陣だ。


 僕はこの日の為に生まれ故郷の牧場で母馬に生き別れ、


 孤独に打ち勝ち、


 競走馬になる為の・・・馬具や鞍の装着・・・馴致訓練・・・その他もろもろの試練に耐えて、


 そして、僕は馬運車に乗ってこの本番の初めてのレース。


 ここで、今までの鍛錬が報われる。


 牧場のみんな!!そして僕の母ちゃん!!厩務員のみんな!!やったるで~〜〜〜!!そして、勝つんだ!!


 勝って、勝って、勝ちまくって、やがて栄光のダービー!!

 G1レースが僕を呼んでいる!!


 うわードキドキする・・・!!

 

 もうすぐ始まる!!僕の名馬へのサクセスストーリー!!  

 

 もうすぐだ。もうすぐだ。もうすぐだーーーー!!



 

 ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ・・・ 


 


 「マーロウ、行くぞ。」



 僕の鞍上の騎手が、緊張してドキドキしている僕に話しかけた。


 僕は向かう。ゲートの中に。


 ゲートの中に?


 ゲートの中に?!


 ゲートの中・・・


 ゲートの中?!


 げ、ゲートの中ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?


 

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