寝苦しい夜

ポポポポンキュ

寝苦しい夜

「面白い話教えてあげようか?」

そう言って暑がりのAさんが教えてくれた話。


その日、Aさんはなかなか寝付けないでいた。

冬の夜、寒いはずなのに相も変わらずAさんの身体は火照っていた。

暑いから毛布と布団から足を出す。でも出していると寒くなるからまた足を布団に戻す。


そうやって足で布団をバサバサするのをしばらく繰り返していた時、Aさんは違和感に気付いた。

 

「あれ?なんか足に当たってる?」

 

布団でも毛布でもない、何かひやっとした物が足に触れる感覚があったという。


「布団に付いてるタグでも当たったかな…」

そう考えて気のせいにしようとしたものの、足を右に出しても左に出しても何かに触れる。

 

やっぱりおかしい…

そう思いAさんが足元に目をやると…



ベッドの下から青白い手が伸びていた。

その手がAさんの足を掴もうとするかのようにユラユラと動いていたのだという。

 




「いや〜、流石にちょっとビビっちゃったよね。その後は身体丸めて目をつぶってたらいつの間にか寝ちゃって気付いた時には朝で助かったよ」

 

「え?え?それ大丈夫なの!?ベッドの下に変質者が居たんじゃないの!?」

 

「あ、大丈夫大丈夫。そういうんじゃないから。私さ、ベッドの下、衣装ケースパンパンに突っ込んであるんだよね。だから人が入れるスペースなんてないの。つまりアレは人間じゃないの。だから大丈夫。」



何が大丈夫かわからないが大丈夫と言うAさんは、まだそのアパートに住み続けている。

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