第4話 禁断の新生活が始まる

 その後、俺は通常の三次元空間にいた。

 ちゃんと宇宙服は着ていたし、AIのAHALアハルも正常に機能している。何も問題はないのだが、俺の膝の上には青白い髪の女の子、ルー・リーオルが座っていた。


AHALアハル。要救助者の救助を完了した。帰還信号をだせ」

「了解しました」


 AIのくせに何の疑問も持たないのか?

 青白い髪の少女が俺の膝の上に座っているんだぞ。こいつは宇宙服も着ていない。えんじ色のジャージ姿だ。この下は体操服とブルマらしい。


「妹はやっぱり体操服だよね。ねっ!」


 この一言で押し切られた。

 何かが間違っていると思う。


 俺の搭乗している雷撃機バートラスMSは自力でのワープ航行はできない。帰還するにはワープ可能な艦艇が迎えに来る必要があるのだが……通常なら艦隊に所属している小型艦艇が来るのだが……迎えに来たのは母艦のグルンヴァルトだった。


「よくやった、英中尉。48時間の休暇を与える。妹とゆっくり休め」


 このクソ艦長め。

 何が妹とゆっくり休めだ。


「おっと、スマンが部屋は同室だ。相棒の鈴鹿は別の部屋へ移動させたからな。安心しろ」


 同室で安心しろだと?

 妹を名乗っているルーの見た目は中学生くらいだぞ。モロに未成年だ!


「手を出すなよ。法規上不味いからな」


 法律を持ち出すならせめて別の部屋をあてがえ。


「嬉しくて口がきけんのかな? まあ、私としては邪魔が入った気分なのだが??」


 邪魔だと??


 俺は目の前にいる女艦長を見つめる。

 俺より年上だがまだ30代だ。


 そして連合宇宙艦隊の菊一輪とも言われている、天才の名をほしいままにしている美女でもある。

 夷守ひなもりいつき大佐だ。


「ははは。冗談だ。可愛い妹を大事にしろよ」


 そういう事らしい。

 地球への移住。その段取りがコレなのか。


 どうしてこうなるのか、俺にはわっぱり分からない。

 しかし、確実に言えることはただ一つ。


 掟破りの、妹との共同生活(空母内)が今まさに始まったのだ!


【おしまい】

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最果てからのスタート 暗黒星雲 @darknebula

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